法的な考慮事項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 23:33 UTC 版)
「デジタル・フォレンジック」の記事における「法的な考慮事項」の解説
デジタルメディアの分析調査は、国内外の法律によって規制されている場合がある。特に民事における調査においては分析官は特に法的な制限を受けることになる。ネットワーク監視や私的コミュニケーションの読み取りは大抵法律による規制が存在しているからである 。刑事捜査の場合においては、どれだけの情報を差し押さえることができるかは国内法次第である。例えば、英国では、法執行機関による証拠の差し押さえは「PACE法」に基づくものとなっている。初期の頃は「コンピュータ証拠に関する国際機関」(IOCE)といった機関が証拠の差し押さえのための互換性のある国際規格を確立するために動いていた。 ただ、英国では、コンピュータ犯罪を取り締まる同じ法律が、調査官に対しても影響を及ぼす可能性が指摘された。1990年の法は、コンピュータへの不正アクセスを防止するものであったが、これが民事における調査官にとって特に懸念事項となっている。 個人のプライバシーに対する権利はデジタル・フォレンジックの1つの分野であり、これは依然として大部分が裁判所によって判例化されていない。米国電子通信プライバシー法(ECPA法)は、法執行機関または民間調査官が証拠を傍受してアクセスする能力に制限を設けたものとなっている。保存されている通信(例:Eメールアーカイブ)と送信された通信(例: VoIP )は区別され、後者はプライバシー侵害と見なされるため、令状を取得するのは困難となる 。ECPA法はまた、企業の従業員のコンピュータおよび通信を調査する上でも影響を及ぼすものである。これは、企業がどの程度監視をできるかという点でまだ議論の余地が残されたものとなっている。 欧州人権条約の第5条は 、ECPA法と同様のプライバシー制限を課しており、EU内外での個人データの処理および共有を制限するものである。英国の法執行機関の権限は捜査権限規定法によって規定されたものとなっている。
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