法務大臣の失言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 21:19 UTC 版)
10月30日の閣議後、記者団の「榎本三恵子さんの証人尋問について、法相はどう考えておられるのか?」との質問に奥野誠亮法務大臣は「一般的な希望」と断りながらも、元妻を出廷させたことについて「検察は社会一般から支持を受けるやり方で、公判をやっていく必要がある。人の道に外れないように留意して欲しい」との見解を示した。これは元妻を出廷させた検察当局のやり方を批判したと受け取られ、マスコミからは「田中擁護のために裁判に介入しようとするものだ」と反論の声が上がった。共産党は「この発言は検察当局への圧力になり、その行動に影響を与える。裁判への干渉であり、三権分立の根本を侵すものだ」と法務大臣の辞職を要求、社会党も「事実上の指揮権発動で、司法の独立にくちばしを入れている」と罷免を求めた。これには、鈴木善幸総理大臣が「政治の場にいるものは、とかく誤解を受けることがありがちだから、私も含め言動に慎重でなければならない」と法務大臣の失言を陳謝したが、奥野法務大臣は「批判したのではない。検察は冷たいと世間から言われているので、これをなくすために人の道に外れないように心掛けるべきだと述べたまでだ」と弁明した。これに対し検察は「前夫人のプライバシー問題には一切触れず、事件に関する最小限だけのことを証言していただいた。検察は十分配慮した」と反論した。奥野法相はこれまでにも何度か田中角栄に対して同情的な発言をしており、これら一連の言動は親田中派としての姿勢を露呈させたと受け止められ、国民の側からは、「人の道に反してるのはどっちの方だ」「田中角栄の力が司法にも及んでいるのか」「正義を守るために命をかけた証言に、あんな形で批判するのは許せない」と、奥野法相の発言に対して批判が相次いだ。11月4日、鈴木首相は再び「公判の維持などの必要上から、裁判所の承認を得て行ったのであろうから問題ではない」と三恵子証言を肯定し謝罪した。
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