江戸銀簪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 20:16 UTC 版)
江戸時代中期後半から明治期まで江戸(東京)で広く愛用された銀製で四寸前後の短めの簪。初期のタイプは長めで五寸から六寸であったが、江戸後期に入ると短めのものが主流となった。多くは玉簪で飾りには珊瑚や砂金石の玉や瓢箪などを飾るのが多い。また、飾り簪とも呼ばれる平打簪と同じ技法でモチーフに趣向を凝らしたものもあり、優雅な花鳥風月にとどまらず、俵や団扇など身近にある器物や野菜や小動物などもモチーフになる。飾りのつかないものも含まれる。本体は銀無垢が普通だが、江戸時代後期には上方風の金メッキを施したものも登場。下半分は銀で見える部分には赤銅に金象嵌を施した華麗なものもあった。銀簪というものの、真鍮や鉄のような卑金属を用いたものも含まれるが、銀ほど一般的ではない。かつてはそれなりに広く用いられていた真鍮製のもの江戸時代後期ともなると野暮と嫌われ、江戸住まいであれば貧しい家庭の婦女といえども身につけなかったといわれる。真鍮の簪は、主に田舎から出稼ぎに来たばかりの若い貧しい女性たちが使っていた。逆に鉄簪は、一流の職人の手になる細工の凝ったものであれば、かえって銀よりも落ち着いた輝きが粋とされて粋好みの芸者にもてはやされた。
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