水疱性口内炎ウイルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 02:58 UTC 版)
「腫瘍溶解性ウイルス」の記事における「水疱性口内炎ウイルス」の解説
水疱性口内炎ウイルス(英語版)(VSV)は、一本鎖の-鎖RNAゲノムでコードされた5つの遺伝子からなる、ラブドウイルスである。自然界ではVSVは昆虫や家畜類に存在し、比較的局在性非致死性の疾患の原因となる。このウイルスの低病原性は、感染の際に組織中および血中に分泌されるインターフェロンへの感受性による処が大きい。これらの分子は細胞をウイルスの感染から守りウイルスの拡散を抑える遺伝子プログラムを発動する。しかし2000年に、癌細胞ではそのプログラムに欠陥があり、インターフェロンに反応できずにVSVに非常に感染し易いことが明らかにされた。VSVの場合感染から細胞融解までが非常に速く、24時間でウイルス量は1000倍に増殖し、悪性腫瘍細胞は死亡する。従ってVSVは癌治療に非常に適しており、いくつかの研究グループがVSV全身投与後に腫瘍内でVSVが増殖し腫瘍が縮小することを示し、生存期間を延長するケースもあることが明らかとなった、遺伝子操作に基づく基質蛋白質のMet-51の削除による弱毒化によって、腫瘍細胞内での増殖能に影響を与えない範囲で理論的には全ての正常組織への感染が回避された。 2010年の研究に拠ると、このウイルスで脳腫瘍を治療し、快癒できる可能性があるとされる。
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