水生カメムシの現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 23:18 UTC 版)
「水生カメムシ類」の記事における「水生カメムシの現状」の解説
現在では、これらの水生カメムシ類は、各地で減少し、絶滅に瀕しているものも少なくない。その理由は様々であるが、水回りの環境の悪化が大きな原因と思われる。 詳細は「水草#水回りの環境悪化」を参照 現在、日本で最も見ることが難しいのはカワムラナベブタムシとコバンムシだと思われる。カワムラナベブタムシは琵琶湖水系の固有種であるが、1960年代以降、生息が確認されていない。コバンムシは水草の多い、低地の池に生息していたものであり、埋め立てや開発による池の減少、周辺環境の悪化による池の富栄養化や汚染、あるいは周辺植生の単純化、ブラックバスの侵入などで激減し、極めて限られた場所でしか見ることができなくなっている。 水田では、1950年代(昭和20年代)頃まではタガメがごく普通に見られたが、1970年代(昭和40年代)には既に非常に少なくなり、タイコウチばかりが目立つようになる。1980年代以降では、それも非常に少なくなり、多くの場所ではミズカマキリが稀に見られる程度となった。このような水生カメムシの急激な減少は、農薬散布や周辺環境の変化、それにともなったカエルやメダカなどの餌動物の減少、さらにはオオクチバスやブルーギル、アライグマなどの肉食性特定外来生物による捕食などが大きく影響していると考えられている。また、ペット業者やその関係者などによる捕獲が多少なりとも影響を及ぼしている可能性もある。 ビオトープ池などのように、彼らの暮らしやすい環境を整えた場所では、ミズカマキリやタイコウチはすぐ繁殖するようになるが、タガメを見かける機会はやはり稀である。タガメのような大型種の場合、より広い範囲で十分な餌が得られる環境が必要であろう。
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