水力発電の費用や収益の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 14:02 UTC 版)
「水力発電」の記事における「水力発電の費用や収益の構造」の解説
小水力発電の場合は、(装置・設備の選択にもよるが)その多くが、数万円~数百万円程度の初期投資とわずかな修繕・維持費用のみで済み、電力を大手電力会社から買い続ける場合の費用を考慮すれば、数年程度で費用を回収することも可能で、その後は金銭的メリットの享受が続く。 中型以上のものに関して言えば、一般水力発電と揚水式発電の水力発電所の費用(原価)は、(火力や原子力発電所など他の発電所と同様に)資本費・修繕費・人件費・諸税などからなる固定費(発電量に無関係なもの)と揚水動力費(揚水式の場合のみ)などからなる変動費(可変費)(発電量に比例するもの)で構成される、と説明されることがある。(ただし、事業者が複数の発電所を統括管理している場合は、必ずしも地点毎に算定されるわけではなく、複数の水力発電施設の費用が混じり合うようにして計算されてしまっている。)この内「資本費」という項目は、諸設備の建設費と耐用年数と金利などにより算出されるもので、これが全コストの大部を占める。建設費は発電所毎の場所の特性(地形、地質、既存の土地使用者の有無など)により大きく変動する。 日本では、一般水力発電所に関しては、建設費の観点から有利な地点から先に開発されてきた歴史があり、既存の事業者がコスト的に開発可能と判断するような新規地点はもう無いともされるが、再生可能エネルギーとしての合理性が注目され、新たな事業者が、政策的助成を活用しつつ、比較的小規模な水力発電所を設置する動きが進みつつある。 揚水式水力発電所の揚水動力費は、深夜など電力需要が少ない時間帯の火力や原子力発電所などの余剰電力を用いる。水を上げ下げすることなどに伴うエネルギー損失をも考慮すると、他の電源の燃料費などに比べて割高な可変費となりはするが、上記の固定費部分が他の電源と比べると安い地点が選定できれば、比較的短い時間しか継続しない電力需要のピーク部分に対応する供給力としては、十分な競争力を有する総合コストにすることが可能である。そのため、「電力系統経費を最小にする施策」として揚水発電所の一定割合の投入が合理的と、既存の事業者などでは分析される。
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