権利能力なき社団・財団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 03:24 UTC 版)
「ペイオフ (預金保護)」の記事における「権利能力なき社団・財団」の解説
「権利能力なき社団・財団」については、預金保険法や同法以外に法令で明確な定義が存在していない。このことについて預金保険機構は次のような要件を満たす場合に限定されているとの見解を示しているが、この見解にすら法的根拠は存在しておらず事実上、権利能力なき社団・財団ではないと破綻金融機関又は預金保険機構が認定されてしまった場合は裁判上で争わざるを得ない状況となっている。 団体としての組織を備え団体の意思は構成員の多数をもって決し、構成員の変更にかかわらず団体が存続しその組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していること。 権利能力なき社団の資産は構成員に総有的に帰属し、その構成員は当然に共有持分権、分割請求権を有するものではないこと。 権利能力なき財団については個人財産から分離独立した基本財産を有し、かつその運営のための組織を有していること。 明文の規約が存在していること。例外的に明文の規約が存在しない場合であっても、団体の主要な点に関して慣行がありその慣行が不文の規約として確立している場合にも「権利能力なき社団・財団」に該当する団体と認められる場合がある。 また、該当の当否は当該団体と取引を行っていた破綻金融機関が個別に判断して決めるので該当しない団体等については任意団体とされ、すべて自然人の代表者や構成員の預金債権とされる。その預金債権は代表者や構成員の各自に持っている預金債権と名寄せ(合算)され、全額保護の対象範囲が変動する。もし団体の預金債権がその代表者の所属とされた場合、例えば代表者自身(個人的)に10万円の預金債権があり団体に991万円の預金債権があれば、名寄せにより代表者自身の預金債権1,001万円とされ全額保護とならない。また構成員に按分された結果、同様となる場合もある。 権利能力なき社団・財団の支部・分会・研究所などの名義でなされている場合には、すべてを本部支部その他の機関や組織体を合算して計算される。ただし、これらの会計や運営が本部と独立しているような場合(名板貸し、フランチャイズなど)にはそれぞれ別に計算される場合がある。 これらの預金債権については預金保険機構は破綻時に規約や構成員名簿の提出を想定しているが、やむをえない理由で提出できなかったものも含め提出できないものについては架空名義又は他人名義の預金債権として処理される可能性がある。
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