楽しみと危険
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 21:49 UTC 版)
狐潰しは、カップル同席の場の遊戯として特に人気があり、競技自体の面白さに加え、カップル間での対抗意識が誘われた。フリードリヒ・アウグスト1世主催のとある大会では、34頭のイノシシが競技場に放たれたところ、イノシシは女性たちのパニエ入りスカートをめちゃめちゃにして高貴な女性たちを恐怖に陥れる一方、騎士たちを大いに楽しませた。かくて集まった貴人たちの盛り上がりは果てしなく続いたという。同じ大会では3頭のオオカミまでも使われたが、その際の人々の反応は記録に残っていない。 この競技は参加者にとって完全に安全なものではない。怯えた動物が競技者に逆襲することは決して珍しくなかった。ヤマネコは特に危険であった。とある人物はヤマネコについて、彼らは爪や牙を競技者につきたてることができないとなると、今度はスリングに命がけでしがみついてしまうと述べている。ヤマネコをうまく弾き飛ばすことはほとんど不可能に近く、楽しいスポーツではないという。 狐潰しは、仮面舞踏会の一環として、競技者も動物も仮装して行われることがあった。男性競技者は神話の英雄やローマ軍団の兵士、サテュロス、ケンタウロス、ピエロなどに扮し女性たちもニュンペーやムーサなどの女神の衣装や仮面をまとった。競技に使う動物は、キツネとともにウサギが多く、厚紙の切れや飾り糸、けばけばしい洋服で飾り付け、誰か人間の著名人の姿に似せて戯画的に仕立てられた。競技が終わると、参加者たちは松明行列に出るか、室内での豪華な宴会へと移った。
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