植物進化の傾向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 09:06 UTC 版)
植物と動物では生理的特性が違い、生殖方法も違う。このため、自然選択によって進化が起こるという原理は同じでも、その働きは若干ニュアンスが異なる。 相違点の一つは、植物細胞の全能性である。この能力のため、ほとんどの動物では難しい無性生殖が可能になる。また、植物には、倍数性の受容能力がある。倍数性とは、両親からの染色体を、通常は2セットのところをそれ以上持っていることである。倍数性により進化が速やかに進行することを可能にする。また、種子植物は長期間の休眠を行うことが可能であり、絶滅への耐性をもたらす。環境が厳しい期間を耐え抜き、温和な時代まで生命活動の再開を待つのである。 これらの違いの効果は、大量絶滅のイベントの時に顕著に表れる。大量絶滅のときには6~62%の地上動物の科が絶滅したが、植物の科に対しては「無視できる」影響しかもたらさなかった。しかし生態系の構造は、植物群の生存量や構成比など、著しく変化した。この効果はおそらく、科内での高い多様性があったため、絶滅が種レベルで選択的に起きるのがほとんどだったからだろう。たとえば、風媒性の種は、虫媒性の種よりもよく絶滅を逃れた。そして特殊化された種ほど絶滅した傾向がある。一般的に、生き残ったグループは大量絶滅までは繁栄していない種だった。これらはジェネラリストであり、平穏な時代にはあまり競争力がなかったようである。しかし特殊化されたグループが絶滅し、生態ニッチが空いたときに繁栄した。
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