朝鮮語同系説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 04:30 UTC 版)
朝鮮語と日本語の関係についての議論は、日本では江戸時代に遡る古い歴史がある。儒学者の新井白石は、「東雅」(1717年)において、百済語の「熊」=クマ、「海」=ホタイを日本語と比べた。後にウィリアム・ジョージ・アストン(1879年)や白鳥庫吉(1897年)などにより、語彙を中心とした比較が行われた。比較言語学の手法に基づく初めての本格的な研究は、金沢庄三郎『日韓両国語同系論』(1910年)である。なお金沢の著作は「日鮮同祖論」(1929年)をはじめ朝鮮半島政策の正当性を証明する根拠としてひろく引用されたため、戦後は糾弾の対象として嫌悪され、忘却されたが、金沢自身はあくまで学術的な関心として研究し、政治的意図を持っていなかった。 サミュエル・マーティンは両言語の音対応の法則性から日本・朝鮮共通祖語を再構し、この音対応法則は後にミラーやジョン・ホイットマンらによって大きく改良された。ただし、再構に2言語だけを使用したこと、対応しない語彙が多すぎること、対応するとされる語彙が借用である可能性があることなどの問題がある。一方で、A. ボビン(2003年)のように、日本語と朝鮮語間でいくつかの文法的要素が一致する事を根拠に、系統的に同一のものと主張される場合もある。ほか、研究としては宋敏『韓国語と日本語のあいだ』(草風館、1999年)がある。 最近[いつ?]では、マーティン・ロベーツが、日本語族を「トランスユーラシア語族」(チュルク語族、モンゴル語族、ツングース語族、日本語族、朝鮮語族から成る語族)の一員に含めた上で、日本語族と朝鮮語族が姉妹群を成すとしている。
※この「朝鮮語同系説」の解説は、「日本語の起源」の解説の一部です。
「朝鮮語同系説」を含む「日本語の起源」の記事については、「日本語の起源」の概要を参照ください。
- 朝鮮語同系説のページへのリンク