月面から持ち帰ったサンプル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 06:45 UTC 版)
「アポロ計画」の記事における「月面から持ち帰ったサンプル」の解説
詳細は「月の石」を参照 計画番号資料総量代表的な資料アポロ11号 22 kg アポロ12号 34 kg アポロ14号 43 kg アポロ15号 77 kg アポロ16号 95 kg アポロ17号 111 kg アポロ計画では総量で381.7kgの岩石その他の物質が月面から持ち帰られ、そのほとんどは現在はヒューストンにある月資料研究所に保管されている。 放射年代測定によれば、月面で採集された岩石は地球上のものと比較して全体的にきわめて古い。その範囲は約32億年前(月の海の部分で採取された玄武岩)から46億年前(高地で採取された地殻のサンプル)まで確認されている。したがって、これらは現在の地球上ではほとんど失われてしまった太陽系誕生初期の試料であると見られている。 アポロ計画全体を通して採取された岩石の中で重要なものの一つに、15号でジェームズ・アーウィン飛行士とデヴィッド・スコット飛行士が持ち帰った「ジェネシス・ロック(Genesis Rock = 創世記の石)」と呼ばれているものがある。斜長石と呼ばれるこの石は、カルシウムを豊富に含んだ長石によってほとんどの部分を構成されている灰長石の鉱石で、月面の高地の地殻のサンプルであると考えられている。この中からは地球化学で KREEP と呼ばれる、地球上には存在しない物質が発見された。KREEPや斜長岩などのサンプルは、月の外殻表面がかつてドロドロに溶けた状態(マグマ・オーシャン)であったという仮説の根拠となっている。 採取された岩石の大部分は衝突にさらされた痕跡を有していた。たとえば多くのサンプルの表面には微少隕石が衝突したことによる極小のクレーターが確認されている。これは厚い大気の層に阻まれた地球上の岩石には見られないものである。また多くのものには隕石が衝突した際に発生した高圧の衝撃波にさらされた形跡が残されており、中には impact melt、すなわちクレーター周辺で衝撃により融解した物質から構成されたものもあった。そして月面から持ち帰られたすべてのサンプルは、繰り返し衝突の衝撃に曝されることによる角礫化が進行していた。 こうした月の岩石の分析結果は、月が誕生した原因を地球に火星程度の天体が衝突したことに求める「ジャイアント・インパクト説」の論旨と合致するものである。
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