最大巻き数と切断係数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 13:48 UTC 版)
「模型飛行機用動力ゴム」の記事における「最大巻き数と切断係数」の解説
動力ゴムの蓄積力(概ね出力になる)の大きさは、切断する寸前が最大になる。競技は限界までの出力が要求されるから、事前に切断する巻き数を知り、その直前まで巻き込むことが重要である。 動力ゴムは、生産ロットや保存状態の違いによる品質のバラツキ、1条の断面積の寸法のバラツキ、束を作ったときの重量のバラツキなど、各種の変動要因があるが、同じ仕様のゴム束を切れるまで巻けば、当該仕様のゴム束の切断巻き数の推定値になる。この方式は最も正確であるが、束の製作・リューブリカントの塗布・慣熟巻きがすべて必要である。更に、この大きさの束を巻き切ることは肉体的にも過重な仕事で、切断時の危険も伴う。 そのため、数gの小さなサンプル束を複数本切断して、下記の公式によって束の長さ・太さ(断面積)と巻き数の比例定数(切断係数)を求める。その切断係数と、実際に使う大きな動力ゴム束の長さ・太さを使って、当該ゴム束の切断巻き数を推定する。この手順を「動力ゴムの切断テスト」と呼ぶ。 切断係数=切断巻き数×(ゴム束の断面積の平方根)/(ゴム束の長さ) 切断巻き数=切断係数×(ゴム束の長さ)/(ゴム束の断面積の平方根) ゴム束の仕様を上の式に代入するとき、長さはmm、太さは平方mmを使う。断面積を求めるとき、(公称断面積×条数)を使うと、公称断面積の製造誤差の影響が出る。ゴムの密度は1.0に極めて近いから、ゴム束の体積(重量g×1000立方mm)をゴム束の長さ(mm)で割った値を断面積(平方mmとして使う場合もある。 競技会ではFAI銘柄の動力ゴムを使用するが、当該銘柄の切断係数は10を越える。模型飛行機用動力ゴムの品質は年々向上してきており、戦前~戦中(1940年代)の実用巻き数の標準的な係数値は4~6とされている。(最新模型飛行機の事典:渡辺敏久:1955年:岩崎書店)但し、この時代のゴムは貴重品であり、現在のように少数回の使用で取り替えることが出来ず、長期にわたって使われていたので、実用巻き数は低めに設定されている。 戦後になり、競技では現在と同様に限界までゴムを巻き込むようになった。その時期(1960~70年代)には、主にピレリ製の動力ゴムが使われたが、実用巻き数の係数値は7.5~8位であった。 一般に、多く巻ける(切断係数が大きい)ゴムは、大量のエネルギーを蓄積できるとされ、優秀な動力ゴムを選別するときの指標にされる。この方法は概ね正しいが、例外的に巻き数は多いがトルクが弱く、蓄積エネルギーの少ないものもある。
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