映画の編集・翻訳・配給に対する批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 22:47 UTC 版)
「ミラマックス」の記事における「映画の編集・翻訳・配給に対する批判」の解説
ミラマックスは、自社製作映画に対して、また配給権を獲得した海外の映画に対して、アメリカ人観客が受け入れやすくなるよう大幅に編集・改編することが多いため、ワインスタイン兄弟はフィルムに容赦なくハサミを入れる「シザーハンズ」とも揶揄されていた。これを免れた数少ない例は宮崎駿の『もののけ姫』、劇場版『ポケットモンスター』シリーズ(第4作〜第7作)などである(もののけ姫についても、2時間以内への短縮やアメリカ人向けの整理を求める意見はあったが、最終的にはオリジナルを尊重することとなった)。またミラマックスは世界配給権を手に入れることが多いため、ミラマックスを通じて世界へ売られているヨーロッパや中南米、アジアの映画を製作国以外の国(例えば日本)で見る場合、本国のオリジナルに比べ大きくカットされていることは多い。(例:ジュゼッペ・トルナトーレの『マレーナ』はミラマックスによるカット版がイタリアを除く各国で劇場公開され、その後ノーカット・無修正版を収録したDVDが販売されている) 日本においては『Shall we ダンス?』(周防正行監督)の全米における配給を担当したことでその存在を知られるようになったが、その公開に至るミラマックス各部門(編集、翻訳、予告編など)との軋轢の顛末や全米プロモーションの道中については著書『『Shall we ダンス?』アメリカを行く』に詳しい。紛糾の末、周防の納得の行かない予告編が作成され、2時間半近い内容を2時間以内にカットしたバージョンが作られた。このヴァージョンがアメリカのみならずヨーロッパなどでも公開されることになったが、ミラマックスの営業の尽力により全世界での大ヒットに至っている。 吹き替えや字幕などの翻訳でもアメリカ人に受け入れられやすくするための改変が多いといわれる。たとえば『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー』は字幕つきのオリジナル音声で公開はされたものの、字幕ではアメリカ人になじみのない清朝末期の政治的背景が翻訳されず、編集でもアクションシーン以外の部分が大きく短縮され、映画音楽も差し替えられたために『黄飛鴻のテーマ』が流れないという事態になった。 このほか、多くのアジア映画の配給権を購入したものの劇場でもDVDでも公開せず、その代わりに合法の輸入DVD販売を阻むなど、映画マニアを怒らせたこともある。たとえば『少林サッカー』の配給権を獲得しながら、劇場公開しないまま長期間にわたり死蔵し、その間に無残な予告編を公開した。結局、最終的な劇場公開までの間にファイルの違法ダウンロードと海外版DVDの輸入が大量に行われていた。
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