旧商法の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 21:34 UTC 版)
1890年(明治23年)に公布された商法施行期日は、民法に先立つ翌年1月1日だったが、日本の商慣習、従来の商業用語を無視し、法典全体の統一性も欠くなど様々な欠点があった上、公布から施行までの期間も8か月しかなかったため、激しい反対運動が起こる。民法と比べても出来が悪く、批判が起きたのは必然であった(梅)。 また、旧商法は、旧民法に歩調を合わせて形式上は仏法系だったが、内容的には大半独法系であり、民法との矛盾抵触が問題になった。 民法は仏人が仏国法に則りて、商法は独人が独国法に倣ひて綴りたるが故に、両法の規定相抵触し前后権衡を得ざるもの多く、又仮令(たとえ)抵触せざるも既に民法に規定せる事にして亦た商法に規定するもの甚だ多く相重複せるが為に無量の疑問を惹起し頗(すこぶ)る之を実地に適用するに苦しむの虞れあり。 — 梅謙次郎「論商法」1891年(明治24年) これらは、商法典論争が第1回帝国議会で延期派勝利に終わった後も引き続き問題となる。 商法なるものは七分は独逸の商法に依ったものであらうと思ひます、多分其理由から起ったことでありませうが、民法と矛盾して居る点がいくつもあります…仮令ば時効…商法に於て権利消滅です。然るに民法に於ては…唯一の推定証拠である、其結は随分著しく違ふものであります。 — 富井政章、第3回帝国議会貴族院演説
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