日本近海のトビウオと漁業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 05:58 UTC 版)
「トビウオ」の記事における「日本近海のトビウオと漁業」の解説
トビウオ漁は、刺網と定置網が水揚げ量の大部分を占める。伝統的漁法として、トビウオならではのものとして、飛翔するトビウオに対し皿を手裏剣のように投擲し、海に落ちたものを拾い集めるものがあるが、現代ではほとんど行われる事は無い。 屋久島の「ロープ引き漁」は、2隻の漁船が円状に漁網を張り、漁師が海に飛び込んでトビウオを網に追い入れる。 カツオ、サンマなどと同様、季節回遊をする魚で、春先から夏にかけて日本付近まで北上してきて産卵し、秋に南下する。日本で漁獲量が多いトビウオには、ハマトビウオ、ホソトビウオ、ツクシトビウオ、トビウオ(ホントビウオ)などがある。種類により、漁の時期、分布が異なり、また味や用途も違う。漁業の対象となっているこれらの種類は、いずれもハマトビウオ属に含まれる種類である。種ごとの特徴の詳細は分類の項を参照。 3月、4月に春先に最初に関東などの市場に出回るトビウオは、八丈島などからのハマトビウオである。最も大型のトビウオで味も良く、くさやの材料にも使われる。ハマトビウオは、九州南部では晩秋に回遊してくるのを獲る。 それに続いて、初夏にはツクシトビウオ、ホソトビウオなどが北上してくる。これらの種は、太平洋側とともに、日本海側にも北上し、九州北部、山陰、北陸地方などでは、ホソトビウオ、ツクシトビウオが主に獲られる。トビウオ(ホントビウオ)、アカトビウオ、オオメナツトビウオ、ホソアオトビなどもこの時期から夏にかけての種類である。 これらのトビウオの種類は、市場によって様々な通称で呼ばれる。関東では、春に出回るハマトビウオなどを春トビ、その後の夏に出回る種類を「夏トビ」(あるいは「本トビ」)と呼ぶことがある。各地で獲れるホソトビウオは頭部、体つきが丸いことから「丸トビ」(西日本・日本海側では「丸アゴ」)と呼ばれ、それに対して頭部が角張って種類を「角トビ」(角アゴ)と呼ぶ。ホソトビウオとツクシトビウオが主なトビウオである日本海側ではツクシトビウオを角トビと呼ぶが、太平洋側ではハマトビウオも角トビと呼ぶ場合がある。愛称で「トッピー」と呼ぶ地域もある。
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