日本近海の類似種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/21 17:56 UTC 版)
インド太平洋には縫合下に褐色斑を並べる類似種が多く、隠蔽種(外見での識別が困難な種)も存在するとされるため、同定は難しいこともある。それらのうち日本近海からは以下のような種が知られる。 Hastula hamamotoi Tsuchida & Tanaka, 1999 オトヒメシチク殻長48mmほどでシチクガイより大きくなる。橙黄色で縦肋は上層部のみ。原殻は約2層。紀伊半島以南、奄美群島、台湾、ソロモン諸島の水深80mから120mの砂底に生息する。 Hastula kiiensis Chino & Terryn, 2019 殻長24.5mmほどでシチクガイより小さい。体層上半は淡黄褐色で殻底は幾分色が濃くなる。周縁の白帯はシチクガイほど明瞭でない。原殻は1.5から2層で後成層との境界は不明瞭。紀伊半島と沖縄から知られる。『日本近海産貝類図鑑(第二版)』 p.378 [plate 334] の第4図として示された「オビナシシチク」の2個のうち左図が本種に当たるという。後述のシチクモドキにも似るが縦肋はより平坦で弱く、縫合下の褐色斑はやや小さい。 Hastula matheroniana (Deshayes, 1859) ホソシチクモドキ殻長40mmほどでシチクガイより大きい。縦肋は細く鋭い稜となり明瞭、肋間は幅広く浅い凹面になる。紀伊半島以南、熱帯インド太平洋の潮間帯下部から水深60mの砂底に生息する。 Hastula ogasawarana Chino & Terryn, 2019 オガサワラシチク 殻長20mmに及ばずシチクガイよりはるかに小さい。暗紫褐色で、縫合下の白帯に並ぶ褐色斑が大きく、周縁の白帯がない。原殻は1から1.5層で紫がかる。小笠原諸島(父島)の水深2mから知られる。 Hastula parva (Baird in Brenchley, 1873) オビナシシチク (別名:テンジクシチク)殻長27mmほどでシチクガイより小さい。全体に白っぽく周縁の白帯は不明瞭。原殻は1.5層。沖縄からニューカレドニア(タイプ産地)までの潮間帯下部から水深20mの砂底に生息する。ただし沖縄のもの(『日本近海産貝類図鑑(第二版)』 p.378 [plate 334] 第4図の右側)がニューカレドニアのものと同種かどうかは検討を要するとされる。 Hastula strigillata (Linneaus, 1857) シチクモドキ殻長40mmほどになりシチクガイより大きい。殻底まで及ぶ細い縦溝に区切られた明瞭な縦肋がある。紀伊半島以南のインド西太平洋の潮間帯下部から水深30mの砂底に生息する。ただし本種とされてきたものには複数の隠蔽種があるとも言われる。
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