日本のV型8気筒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 01:08 UTC 版)
乗用車用としては1964年にトヨタ自動車が既存のクラウンのボディを拡幅、これにアルミニウム製の2.6リッターV型8気筒OHVエンジンを新規開発して搭載したクラウン・エイトが最初である。のちこれを3.0リッターに発展させる形で1967年にはやはりV型8気筒エンジン搭載車のセンチュリーが開発された(2代目は5.0リッターV型12気筒エンジンになった)。一方日産は1965年に4.0リッターV型8気筒エンジン車のプレジデントを開発している。いずれも少量生産の特殊な高級車であり、一般的な存在ではなかった。 1980年代後半以降、トヨタと日産は量産型の高級車・上級車にV型8気筒エンジンを搭載するようになり、トヨタ・セルシオ(レクサスLS)に見られるように静粛性とスムーズさで世界的に注目されるV型8気筒エンジンを開発するようにもなった。しかし3〜4気筒、排気量0.66〜2.0Lが主力である日本の乗用車向けエンジンの中ではV型8気筒エンジンは相当に大型なカテゴリーに属し、乗用車分野では21世紀初頭の現在まで、大型車を生産するトヨタと日産、三菱のみが手がけていたに過ぎず、このうち日産と三菱はすでに設定がなくなっており、国内向けではトヨタのみが生産している。 大型車においては1960年代に三菱MAR820の高速バス仕様車に搭載されたことが始まりで、高速道路網の拡充を受けて、観光タイプや大型トラックの主力エンジンとして普及した。その後いすゞがV型10気筒に移行したが、後にはV型8気筒に回帰、1995年から2005年にかけてはキュービック・エルガの大型路線バス(LV280,380系等)にも搭載された。しかし年々厳しくなる排出ガス規制の波には勝てず、最後の牙城だった観光バスもターボ付き直列6気筒に転換され、またいすゞ・エルガの天然ガス自動車のV型8気筒エンジン搭載モデルも2007年11月に直列6気筒エンジンに変更された。現在日本で新車購入が可能なV8エンジン搭載の大型車は、スカニアの重トレーラー用トラクターのみである。
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