日本の有線電信従事者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 01:34 UTC 版)
電気通信事業は国家による運営から始まることが多い。日本では二次大戦終了後まで、運輸通信を管轄する逓信省が公衆通信(電気通信役務)などの現業も行なっており、電気通信省などを経た1952年の公社化まで、有線系の通信士は基本的に公務員だった(日本電信電話公社#概要)。 電報発信を依頼するのは主に郵便局の窓口であり、局によってはモールス通信も行なっていた(電報電話局#概要)。当時の電信網は人手に頼る要素が多く、多数の通信従事者を必要とするため、専門の養成機関も充実していた。公衆通信以外でも鉄道をはじめ、軍隊や警察なども全国的な電信網を擁していた。 1920年代には東京大阪間などの基幹回線から印刷電信機の導入が始まり、戦後の高度成長期を迎える頃には有線モールスの通信士は姿を消していた。さらに70年代までには電報送受や電話交換 などの殆んどが自動化され、また固定地点間の通信にも無線技術が大幅に導入された(#陸上無線)。 これらのシステムに要する人員は保守点検の技術者であり、通信そのものに人手を要することは、利用者の端末操作を除きほとんどなくなった。1985年の電気通信自由化に際して新設された有線系通信の国家資格も、管理や工事に関するものである。 タイプライターを扱える人が少なかった日本では、テレックスなどの運用には専任者を要することが多かった。日本語のワープロソフトが開発されパソコンが普及した90年代以降は、利用者自身が電子メールなどを送受するのが普通である。有線系の文字通信を他者のために運用する職種は、21世紀の日本では電報の受付などに残る程度となった。
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