日本における日時表記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/22 04:25 UTC 版)
グレゴリオ暦による 日付の書き方 |
2025年6月22日 15:33 (協定世界時) |
---|---|
グレゴリオ暦による 日付の書き方(全て数字) |
2025年6月22日 15:33 (協定世界時) |
Time | 2025年6月22日 15:33 (協定世界時) |
本項目では日本における日時表記(にほんにおけるにちじひょうき)について述べる。歴史的には日本の暦と元号に従った日時表記を行っていたが、明治時代の初めである1873年1月1日水曜日にグレゴリオ暦に変更された。通常、日付は「年→月→日」の順番で表記し、時間については12時間制と24時間制の両方が用いられる。
日付

日本で一般的な日付の表記は「2023年12月31日 (日)」のように、「年→月→日(曜日)」の順番に数字を並べ、数字の後に「年」「月」「日」を助数詞として入れるという書き方である[1]。曜日は「日曜日」であれば「日」など、1文字に短縮されることもある[2]。数字だけで書く場合、「2023/12/31」のようにスラッシュを用いて年、月、日の間を区切る[1]。
元号
年の表記については西暦のみならず、元号が用いられることもある[3]。西暦を使用する場合は「西暦」をつけずに「2024年6月21日」のように書くが、同じ日付を元号を用いて書く時は年の前に元号をつけて「令和7年6月21日」のように書く[4]。
時刻
時刻は日本全土で日本標準時(協定世界時+9時間)を使用している[5]。
時刻は数字の後に「時」「分」という助数詞をつけて「8時42分」のように表記する。この「分」は前の数字に応じて「ふん」と読む場合と「ぷん」と読む場合に分かれる[6]。「〇時30分」のようにきりのいい時間を30分過ぎた時間は「〇時半」のように言うこともある[6]。数字のみで書く場合は「8:42」のように「:」をはさんで書く[7]。「秒」を追加して「8時42分1秒」のように言うこともある[6]。

日本では12時間制と24時間制の両方がよく用いられている。とくに日本の鉄道時刻表では24時間表記が用いられることも多い[8]。12時間表記も「午前10時」のように「午前」と「午後」を時間の前につける形でよく使用される[8]。昼の12時より前の時間帯は「午前」、それより後の時間帯は「午後」をつける[7]。
12時は「0時」(れいじ)と表記することもある[7]。NHKは基本的に昼の12時は「正午」、夜の12時は「午前0時」と呼称している[9]。
日付をまたぐ活動などについては、深夜0時を過ぎた時刻が24時を越えた数字で表記されることもある。たとえばバーやクラブは 「30時」(午前6時)まで営業するというような表示をすることもある。これは午前と午後の混乱を防ぐためでもあり、また閉店時間は前の営業日の延長としてとらえられるためである。テレビ局も頻繁に深夜の番組スケジュールではこの時間表記を使用する[10]。
歴史的背景

近代以前の時刻表記
古代の日本では二十四節気や十二支を用いる十二時辰で日時を表記していた[11]。
江戸時代には四つから九つまでの数で時刻を数えており、九つ、八つ、七つ、六つ、五つ、四つ…となって四つまでいくと九つに戻る[12]。落語の「時そば」はこの時刻の数え方を題材としたものである[12]。日の出を明六ツ、日の入りを暮六ツとしていたが、日の出や日の入りの時刻は季節によって変わるため、夏は夜が短くなる一方、冬は夜が長くなった[13]。十二時辰も一緒に使用されていた[14]。たとえば「丑三つ時」は現代の時間の午前2時頃である[14]。
新暦の実施
1873年(明治6年)より、日本の暦は改暦され、新暦に太陽暦を採用した。従来の暦は太陰太陽暦に基づく天保暦で、以後、日本で単に旧暦と言えば天保暦を指す[15]。
改暦は、具体的には、天保暦(旧暦)の明治5年12月2日の翌日を、新暦の明治6年1月1日とすることで実施した。これにより、西暦(グレゴリオ暦)と和暦の日付が一致することとなった[16]。
和暦 | 西暦 | ユリウス通日 | ||
---|---|---|---|---|
天保暦 (旧暦) |
現行暦[17] (新暦) |
ユリウス暦 (旧暦) |
グレゴリオ暦 (新暦) |
|
明治5年12月2日 | なし | 1872年12月19日(火曜日) | 1872年12月31日(火曜日) | 2405159 |
(12月3日) | 明治6年1月1日(水曜日) | 1872年12月20日(水曜日) | 1873年1月1日(水曜日) | 2405160 |
(12月4日) | 明治6年1月2日(木曜日) | 1872年12月21日(木曜日) | 1873年1月2日(木曜日) | 2405161 |
脚注
- ^ a b “日付及び時刻”. 政府CIOポータル. p. 4 (2019年3月28日). 2025年6月16日閲覧。
- ^ “DateTime::Locale::ja_JP - Locale data examples for the Japanese Japan (ja-JP) locale - metacpan.org”. metacpan.org. 2021年6月7日閲覧。
- ^ “元号西暦対照表”. www.jacar.archives.go.jp. 国立公文書館. 2025年6月16日閲覧。
- ^ “日本語 文法 02.12.3 月・日付・曜日:解説”. www.coelang.tufs.ac.jp. 東京外国語大学. 2025年6月21日閲覧。
- ^ “JST Clock”. www.nict.go.jp. 情報通信研究機構. 2025年6月16日閲覧。
- ^ a b c “日本語 文法 ○○分・半:解説”. www.coelang.tufs.ac.jp. 東京外国語大学. 2025年6月21日閲覧。
- ^ a b c “日本語 文法 ~時:解説”. www.coelang.tufs.ac.jp. 東京外国語大学. 2025年6月21日閲覧。
- ^ a b “DateTime::Locale::ja_JP - Locale data examples for the Japanese Japan (ja-JP) locale - metacpan.org”. metacpan.org. 2021年6月7日閲覧。
- ^ “放送での時刻の伝え方・言い方 | ことば(放送用語) - 放送現場の疑問・視聴者の疑問 | NHK放送文化研究所”. www.nhk.or.jp. 2025年6月21日閲覧。
- ^ “12時間制と24時間制”. 放送研究と調査. p. 31 (2015年7月). 2025年6月5日閲覧。
- ^ 田中元『古代日本人の時間意識――その構造と展開』吉川弘文館、1990年、1-2頁。
- ^ a b “江戸の時刻制度“不定時法”:お江戸の科学”. www.gakken.jp. 学研科学創造研究所. 2025年6月21日閲覧。
- ^ 林美一『江戸の二十四時間』河出書房新社、1989年、17頁。
- ^ a b “時刻”. enmokudb.kabuki.ne.jp. 歌舞伎用語案内. 2025年6月21日閲覧。
- ^ 厳密には、天保暦による日付と現在一般に「旧暦」として流布する日付は、わずかにずれる。詳しくは、旧暦#日本を参照。
- ^ ただし、西暦についても、ユリウス暦からグレゴリオ暦への移行は国ごとに異なっていることを念頭に置く必要がある。例えば、ヨーロッパでも、ロシアがグレゴリオ暦を実施したのは1918年(大正7年)2月14日、同じくギリシャは1923年(大正12年)3月1日など、アジアの日本よりも遅い。なお、日本の1873年(明治6年)1月の太陽暦採用において置閏法に不備があったため、厳密にはグレゴリオ暦採用ではなく、1873年(明治6年)1月から1898年(明治31年)5月まではグレゴリオ暦とは一致するものの「ユリウス暦と同じ置閏法を採用した日本独自の暦(ユリウス暦の日付を12日進めた暦)」であり、置閏法を含めた厳密なグレゴリオ暦採用は1898年(明治31年)5月以降のことである。
- ^ 法令上、日本の現行暦はグレゴリオ暦そのものではなく、神武天皇即位紀元(皇紀)を元にした暦である(1898年「閏年ニ關スル件」明治31年勅令第90号)。もっとも、グレゴリオ暦の特長である閏年の計算は、神武天皇即位紀元年から660を減じた年数(グレゴリオ暦の年数に等しい)を元に行う。そのため、日本の現行暦はグレゴリオ暦と実質的に同じ暦となる。
- 日本における日時表記のページへのリンク