日本での用途
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 00:44 UTC 版)
日本には、スズそのものの加工品としては奈良時代後期に茶とともに持ち込まれた可能性が高い。今でいう茶壷、茶托などと推測される。金属スズは比較的毒性が低く、酸化や腐食に強いため、主に飲食器として重宝された。現在でも、大陸喫茶文化の流れを汲む煎茶道ではスズの器物が用いられることが多い。日本独自のものには、神社で用いられる瓶子(へいし、御神酒徳利)、水玉、高杯などの神具がある。いずれも京都を中心として製法が発展し、全国へ広まった。それまでの特権階級のものから、江戸時代には町民階級にも慣れ親しまれ、酒器、中でも特に注器としてもてはやされた。落語『御神酒徳利』の語りの発端となる御神酒徳利は、スズ製という設定である。京都、大阪(大阪浪華錫器)、鹿児島(薩摩錫器)に、伝統的な錫工芸品が今も残る。近年では日本酒用以外にビアマグやタンブラーなどもつくられるようになった。また、一部の比較的高級な飲食店では日本酒の燗に、こだわりとして高価であるスズ製ちろりを使用するところがある。科学的には定かではないが、錫製品は水を浄化し雑味が取り除かれ、酒がまろやかになると言われている。近年では、錫の軟らかい性質を利用した錫製品や作品が、富山県を中心に製造されている。他にも第二次世界大戦中にチャフとして使われた。
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