新幹線の線路使用料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 04:31 UTC 版)
国鉄分割民営化当初、東海道・山陽・東北・上越の4新幹線は「新幹線鉄道保有機構」の所有とされ、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、東日本旅客鉄道(JR東日本)の3社は新幹線鉄道保有機構に対して線路使用料を支払って列車の運行を行っていた。機構は旧国鉄債務のうち約5兆7000億円(これに加えて約2兆9000億円を国鉄清算事業団に対して負担)を引き継ぎ、債務の30年元利均等返済に必要な額に管理経費を加えた額を輸送量や施設の価格に応じて3社に分割して線路使用料としていた。初年度ではJR東海4056億円、JR西日本1032億円、JR東日本1979億円であった。しかし貸付期間終了後のJRへの施設譲渡が有償か無償か定められていなかったこと、貸付料の配分が変動するため将来的な負担額が不確定であること、新幹線設備が自己資産ではないため減価償却費を計上できないことなどの問題があり、1991年10月1日付けで新幹線設備はJR3社に有償譲渡とされた。 一方、民営化以降に建設された整備新幹線については、建設を行った日本鉄道建設公団およびその後身の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が施設を所有しており、運行するJR各社は機構に対して「貸付料」の名目で線路使用料を支払っている。貸付料は新幹線が整備されたことによるJRの受益を限度として設定されることになっており、実際には「新幹線が開業した場合の30年間の収益の合計値」-「新幹線を建設しなかった場合の30年間の収益の合計値」を30年で割って算出することになっている。貸付料の年額は、北陸新幹線の高崎 - 長野間は175億円、長野 - 上越妙高間は165億円、上越妙高 - 金沢間は80億円、東北新幹線の盛岡 - 八戸間は79.3億円、八戸 - 新青森間は70億円、九州新幹線鹿児島ルートの博多 - 新八代間は81.6億円、新八代 - 鹿児島中央間は20.4億円、北海道新幹線の新青森 - 新函館北斗間は1.1億円となっている。
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