文化的受容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/27 15:19 UTC 版)
映画におけるサイド・グリップの構えは遅くとも1960年代には確認され、西部劇『片目のジャック』(1961年)や『続・夕陽のガンマン』(1966年)において顕著である。この時期の映画にこの構えが採用された背景には、大写しのシーンで役者の顔と銃の両方を収める事が容易であるという撮影上の利点があったのではないか、との指摘がされている。 1993年のアメリカのフッドムービー『ポケットいっぱいの涙』は、強盗がロサンゼルスのコンビニエンスストアを襲う開幕のシーンにおいてサイド・グリップが用いられているが、この構えを広く一般に知らしめた。監督らによれば、彼らはこの構えを1987年デトロイトで起きた強盗事件で直に目にしており、この構えが「だらしなく、流行を先んじており、現実的」なものとして心を打ったから映画に採用したのだという。他の映画撮影者らもいち早くこの仕草を取り入れ、『デスペラード』(1995年)、『ペイバック』(1999年)、『セブン』(1995年)、『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)、『コピーキャット』(1995年)など、無数の1990年代のアクション映画やギャング映画において用いられるようになったため、直ぐにサイド・グリップはハリウッドの映像表現において「傲慢さとクールな力」を表現するものになった。 HBOで放送された『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』のシーズン1第2話『受難』では、救助を要請された男たちのうちの一人が、サイド・グリップで銃を構えていたため叱責されたことが後の伏線となっている。 アメリカの映画やテレビ番組においてこの構えの描写が無数に繰り返されてきたため、ヒップホップ・ミュージックや犯罪的なサブカルチャーといった、クールであること、アグレッシブであることを尊ぶアフリカ系アメリカ人の大衆文化のうちのいくつかの分野でサイド・グリップは模倣されるようになった。結果として、アメリカの武装暴力犯罪におけるサイド・グリップの使用例はますます増大している。2009年にはニューヨーク市警察が或る犯罪者について「ラップビデオから飛び出した登場人物のように銃を横に」構えたと表現したことがあるほどに、ラップカルチャーにおいてサイド・グリップはありふれた表現となっている。
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