文化的価値と評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 04:10 UTC 版)
「ネフェルティティの胸像」の記事における「文化的価値と評価」の解説
『ネフェルティティの胸像』は「古代エジプトの文物のなかで最高に賞賛、模倣されてきたイメージの一つ」で、ベルリン美術館の所蔵品でもっとも集客力のある展示品となっている。「世界的な美の象徴」であり「長い首、優美な弓なりの眉、高い頬骨、細い鼻梁、そして謎めいた微笑を浮かべる赤い唇。この胸像はネフェルティティが古代でもっとも美しい女性の一人であるという名声をもたらした」とも言われている。ツタンカーメンの黄金マスク以外に比べるもののない、世界的に有名な古代美術品である。 『ネフェルティティの胸像』はベルリンの文化的象徴にもなっており、毎年50万人以上の見物客がネフェルティティのもとを訪れる。「古代エジプトの芸術品のなかでもっとも有名な作品で、エジプト以外の古代遺物のなかでも群を抜いている」とも表現された。この胸像はベルリンの絵葉書になっており、1989年には彫刻正面の顔がデザインされた切手も発行されている。 1930年にドイツのマスコミが『ネフェルティティの胸像』を擬人化し、新しい女王として取り上げたことがある。「このうえなく高貴で、王冠にちりばめられた宝石とともにプロイセン・ドイツが誇る宝物」であり、ネフェルティティは1918年(第一次世界大戦でドイツが敗北した年)以降ドイツ帝国の世界的地位を回復することだろうとした。 ヒトラーはこの『ネフェルティティの胸像』を「匹敵するものがない名作、装飾品で、真の宝物」と表現し、胸像を収める博物館建設を公言した。1970年代にこの胸像は、第2次世界大戦後に分断された東西ドイツのナショナル・アイデンティティの問題にもなっている。クラウディア・ブレーガーは『ネフェルティティの胸像』がドイツのナショナル・アイデンティティに関連付けられるようになったのは、歴史的ライバル国のイギリスがアメンホテプ4世とネフェルティティの2代後にエジプトを統治したツタンカーメンを発掘したことと関係していると考えている。 『ネフェルティティの胸像』は大衆文化にも影響を与えており、映画『フランケンシュタインの花嫁』でメイクアップを担当したジャック・P・ピアースの手によるエルザ・ランチェスターの印象的な髪型は、この胸像がもとになっていた。
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