政治制度の類型と首相
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 05:34 UTC 版)
政治学では執政制度(行政部)の類型について、政府の長(英: head of government)の選出と解任の違いから、議院内閣制、自律内閣制、首相公選制、大統領制の4つの類型に分けることがある。 議院内閣制(Parliamentary) 議院内閣制では首相は議会多数派から選出され、解任も議会多数派により行いうる。議院内閣制の国家では、首相が政府の長(英: head of government)である。近代の議院内閣制における史上最初の首相は、イギリスのハノーヴァー朝における第一大蔵卿のロバート・ウォルポールであるとされる。ハノーヴァー朝初代国王ジョージ1世はドイツ人だったため英語が全く読み書きできず、ウォルポールに内政外交全ての政策決定権を委託した。これが、国家元首である君主が「君臨すれども統治せず」という立憲君主制と議院内閣制による民主主義政治システムの構築の始まりとされる。 自律内閣制(Assembly-independent) スイスで採用されている自律内閣制では首相は議会多数派から選出されるが、任期期間中は解任できない制度になっている。スイスでは議会において各地域、各言語圏を代表する政党から内閣の構成員を選出し、内閣全体で等しく政策決定に責任を負っており、首相職も閣内での1年ごとの交代制である(内閣の任期は4年)。 首相公選制(Elected PM) 首相公選制は有権者から直接首相を選出する制度。イスラエルで採用されていたことがあるが、議会多数派から選出されるわけではないため議会での支持基盤のない首相の誕生と多党分立が問題になり、議会で政策の支持を円滑に取り付けることが困難になったため廃止された。 大統領制 大統領制は有権者から大統領を選出する制度であるが、大統領制の下での内閣の役割は国により大きな違いがある。ドイツやイタリアのように大統領が形式的・象徴的存在にすぎず議会多数派から首相が選出される議院内閣制に近い形態の国と、韓国やアルゼンチンのように首相の選出や解任が大統領によって行われ大統領のスタッフとして機能している国がある。
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