撒水装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 18:40 UTC 版)
車両の両端にある水タンク 終点で給水を行なう電車 鉄道車両においては、レールが車輪を誘導することによって曲線を通過させる仕組みとなっているが、この結果としてカーブ外側のレールに強い力がかかることになる。レールと車輪では車輪の方が硬く、レールの磨耗が発生するため、これを防ぐ必要があり、通常の鉄道ではレールの頭部側面に塗油したり、台車側に塗油器を設けることによってレールの磨耗を抑える。 しかし、急勾配線区においては塗油することによってレールと車輪の摩擦係数が低下して上り勾配での空転や下り勾配での滑走が発生し、極めて危険な状態となる。そこで、カーブではレールと車輪の間に撒水することによって磨耗を防ぐこととした。このため、各車両とも車両の両端部に容量360Lの水タンクを設け、運転士の操作によって水を車輪の踏面に撒水する装置を装備している。片道1回の運行でおよそ50Lから80Lの水を消費する。 開業当時のチキ1形には撒水装置がなかったため、レール交換が多く繰り返されたという。このため、チキ1形では屋根上に水タンクを設けたが、1927年に増備されたチキ2形以降の車両では連結器の下に水タンクを設置した。 なお、開業当初は粘着力を増す目的で全車両の台車に撒砂装置を設けていたが、撒水したところに砂を撒くことによってレールの磨耗が激しくなったため、撒砂装置は後年、全て撤去されている。
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