推進回送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 02:14 UTC 版)
推進回送に対応し、JR東日本E26系客車では前照灯を装備している 先頭の客車に設置された可搬式のブレーキ弁 尾久から上野に推進回送される「北陸」 推進回送(推回)とは、機関車牽引の列車を通常とは逆向きの、客車を先頭、機関車を最後尾とした推進運転で回送する方法である。1934年6月にそれまでの機関車付け替え方式に代わって導入された。 当センターが受け持つ寝台特急に代表される客車列車は上野発着であり、同駅での転向(折り返し)が必須となる。しかし、これらの発着に使われる列車ホームは、頭端式ホームという行き止まりの構造であるため機回しができない。そのため機関車の付け替えを行わず、推進回送が行われている。つまり推進回送とは、当センターの場合、上野駅を出発する下り客車列車は、車庫である当センターで車内準備を整え、大宮方に機関車を連結し客車を先頭車として上野駅に向けて回送され、上野駅で乗客を乗せた後、機関車の付け替えを行わずに今度は機関車を先頭として出発する。逆に、上野駅に到着した上り客車列車は、機関車の付け替えを行わずに上野方に機関車を連結したままの状態で客車を先頭として当センターに向けて回送することを指す。 推進回送で実際に運転を担当するのは最後部の機関車に乗務する運転士であるが、運転台のない先頭の客車には正規の運転装備に代わるものとして、可搬式のブレーキ弁、警笛、前照灯、無線が用意され、非常時のブレーキ操作を行う推進運転士が乗り込み、後部の運転士と連絡を取りながら運転される。なお、この区間の回送運転は田端運転所所属の運転士が担当する。推進運転の際の速度は45 km/h以下、推進運転士のない場合は25 km/h以下に制限されている。特殊な運転扱いにもかかわらず現在まで続いている理由は、回送が約11分間程度と短距離および運行量の多い区間のため、機関車付け替えに比較して、時間的、経済的に有利との判断からとされている。
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