推進力・電力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:33 UTC 版)
2012年に、スクリューやモーターを追加する改造が行われ、操作性が大幅に向上した。推進力(スクリュー)は、船体後部に主推進スラスターを左右に各1台、船体中央の左右両側に垂直スラスターを各1台、船体前後に水平スラスターを各1台。垂直スラスターを埋め込み式にすることで下降・上昇時の抵抗減少・時間短縮に努めている。後部の推進スラスターは左右独立して推進力の調整が可能で、水平スラスターも併用して左右に旋回する。潜行する際は、そのまま沈むのでは垂直スラスターの推力およびバラストに依る比重しか利用できないため、潜行トリムを取った上で旋回(すなわち前進推力を利用)しながら潜行していくことで、目的深度までの到達時間短縮を図る。 浮力材は、ガラスマイクロバルーン(極小の中空ガラス球)を高強度エポキシ樹脂で固めたシンタクチックフォーム(水との比重は0.53)を船体全体に使用している。特に、しんかい6500で使用されているシンタクチックフォームは、直径88〜105μmと直径40〜44μmの2種のガラスマイクロバルーンを使用、より小さなバルーンで間を埋めることで比重を抑えたまま強度を向上している。浮上する際に排出するバラスト(重り)は、しんかい2000では鉄球のバラストだったが、しんかい6500では鉄板に変更されている。バラストには潜行番号が刻印されているため、いつ、どの潜水船が調査を行ったか分かる。 主蓄電池は当初、軽量で高容量の酸化銀亜鉛電池(酸化銀電池を参照)を1組2群(1群72セル)を潜水毎に入れ替えて使用していたが、2004年からはリチウムイオン電池となり、小型軽量化と整備性改善が図られている。
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