授業分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/17 20:32 UTC 版)
授業をよりよいものにするために、授業自体を分析し、未来へ生かす試みが行われた。 たとえば、授業のコミュニケーションを科学的に分析することが試みられた。1970年代に世界各国に普及したのは、相互作用分析という方法であった。たとえば、相互作用分析を代表するN.A.フランダースの方法は、3秒ごとに教室の発言行動を10のカテゴリーに分析して、授業の特徴を数量的、客観的に分析する方法である。 しかし、このような分析だけで教育のすべてを分析することには無理があるという指摘がイギリスのハミルトンとデラモント、エイデルマンとウォーカーなどからあがった。その指摘の内容は、「表面的で観察可能な行動だけに関心を向け、その背後にある意図を考慮していない」などである。 より複雑な形で会話分析を行った研究者には、アーノ・ベラック、メーハンなどがあげられる。とくにメーハンは、著書『授業を学ぶ』においてエスノメソドロジーの会話分析手法を使い、教室のコミュニケーションの本質的な特徴を浮き彫りにしている。たとえば、下記のやり取りを比較すると、わかりやすい。 (普通の会話)A氏「今何時ですか?」 B氏「2時半です。」 A氏「ありがとう。」 (授業の会話)先生「今何時ですか?」 生徒「2時半です。」 先生「よろしい。」 カートニィ・キャスデンは、社会言語学の立場から教室のコミュニケーション分析を行った。その成果には、子どもの誤答から正しい答えを導いた過程も、実は教師の会話の構造を判断し正解にたどり着いた可能性がありうること、などがあげられる。 どの分析方法も授業に生かすために有用ではあるが、それぞれの分析方法は一定の視点で調べているにしか過ぎず、目的に応じて適切な分析方法を選ぶ必要がある。
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