投票率とボイコットをめぐって
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/12 12:58 UTC 版)
「イラン大統領選挙 (2005年)」の記事における「投票率とボイコットをめぐって」の解説
イスラーム共和国政府、特に最高指導者ら高官は、投票率に重大な関心を寄せていることを明らかにした。これは、一部有権者が現体制行政への反対票として最高指導者と関係が疎遠な候補への投票を考えていたとしても、投票率そのものが市民の現体制への支持を示すものと考えられたためである。投票率は第1回投票で約63%であった。 海外に亡命し反体制派、王党派に属しつつ市民権をもつ人々、また国内の知識人の一部、少数の改革派は、現体制への反対を示すものとして選挙をボイコットした。このボイコットはまた登録候補者に対する拒絶でもある。イランにおける大統領の権力機構における役割は突出したものではなく、終身の任期を持つ最高指導者の影にあるもので、また全ての候補者は立候補、選出というプロセスを踏むことで政治的圧力を反対派にもたらす体制を補強していると考えられるからである。このボイコットにおける指導者で著名なものに、ジャーナリスト活動をめぐってエヴィーン刑務所に収監中で、ハンガーストライキを行っているアクバル・ギャンジーがいる。 一方で、知識人にはボイコットに反対の立場をとる者もいた。こちらにも欧米・国内在住の重要人物が、その支持者・一般に選挙への参加と投票を要請している。これは棄権が、背景にイスラーム革命防衛隊組織をもつ3人の保守派候補の当選につながると考えたためである。このような立場をとった者で著名なのはエブラーヒーム・ナバヴィー、マスウード・ベフヌード、ハシャーヤル・デイヒーミーらである。この立場の人々が支持したのは、アーヤトッラー・ハーメネイーとの関係がもっとも少ないと考えられたモイーンであるが、ラフサンジャーニーやキャッルービーを支持した者もいる。 第一回投票でモイーンが敗れ決選投票になると、ボイコット支持者の多くはハーシェミー・ラフサンジャーニーを支持し、モイーン支持者ら改革派支持者の多くも同様にラフサンジャーニーを支持した。モイーンを支持した主要2政党であるイスラーム・イラン参加戦線(IIPF)およびイスラーム革命モジャーヘディーン機構(MIRO)も同様で、IIPFは「宗教的ファシズムの勃興に対して団結を」と訴え、またMIROは対立候補アフマディーネジャードを「独裁志向」とよんだ。モイーン自身は決選投票では個人的には棄権するとしたが、支持者については「ファシズムの危険性を真剣に考慮すべき」としてボイコットはありえないと述べている。 囚人の権利擁護協会理事長のエマードッディーン・バーギーもラフサンジャーニー支持を発言し、ラフサンジャーニーを保守派のままであるが、アフマディーネジャードの原理主義よりも伝統的保守主義のほうが好ましいとしている。
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