打ち言葉とは? わかりやすく解説

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打ち言葉

読み方:うちことば

電子機器へのテキスト入力という形で表現される言葉

文化庁2018年3月、「分かり合うための言語コミュニケーション報告)」と題する資料において、電子メールSNSでのコミュニケーション用いられる特殊な表現を、話し言葉とも書き言葉とも異なる「話し言葉要素多く含む新し書き言葉」として区分し、これを「打ち言葉」と呼んでいる。

打ち言葉は視覚的媒体表現されるという点においては書き言葉」に区分し得るが、文体くだけた話し言葉」に近い。さらに打ち言葉では絵文字などの記号多用される等、書き言葉において欠落しがちな(話者感情などの)言語外の情報を補うための特殊な方法発達している。

また、おk」「う pのような俗な(ローマ字入力誤変換起源とするネット俗語的な表記も、打ち言葉独特の表現として特筆される

文化庁報告書では「打ち言葉」を「新しコミュニケーションの形」として認めつつ、使われ方世代差などもあって誰にでも通じるとは限らないことや、従来書き言葉とは書式書き方異な部分もある、といった点への意識は必要との旨を指摘している。

関連サイト「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」について  ― 文化庁 報道発表 2018年3月2日PDFファイル

うち‐ことば【打(ち)言葉】


打ち言葉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/11 04:12 UTC 版)

 打ち言葉 (うちことば) [1][2]とは、デジタルメディアを通じたテキストベースコミュニケーションに使用される言語表現で、従来の「話し言葉」と「書き言葉」の特徴を兼ね備えつつ、両者とも異なる新しいカテゴリとして位置づけられる[3]。打ち言葉は主にインターネットを介しキーを打つなどして伝え合う,かつてはなかった新しいコミュニケーションの形である[4]

定義

打ち言葉は、ネットワークに接続されたデジタルメディア上でテキストチャットやテキスト入力によって現れる言葉と定義される。この言語形式は「チャットの打ち言葉」と「技術依存の打ち言葉」の二つのサブカテゴリに分類される。前者はネットワークを通じた文字会話における言語であり、後者は電子化文字のテキストにおいて「入力・打つ」という行為によって生じる新しい言語表現を指す[1]。e.g. 「|ナL丶ナニレ丶」,「おk」,「うp」,「草生える」,タヒ·タヒ(死),ㅇㅈ・린정(인정, 認定),젭라(제발・何とか(お願い)),고나리(관리・管理),듀냐(EBS)など[5]

歴史

打ち言葉は1980年代から1990年代のパソコン通信時代に起源を持ち、その後「ポケベル」や「携帯メール」といったコミュニケーション手段の普及に伴い、より一般的な存在となった。現代では、多くのソーシャルメディアプラットフォームで一般的に見られる。

特徴

互いのやり取りが比較的短い時間で行われ,一回のやり取りで交わされる情報量も少ない媒体においては,話し言葉に近いものも多く用いられる。こうした,話し言葉の要素を多く含む新しい書き言葉を「打ち言葉」と呼ぶ。主にインターネットを介しキーを打つなどして 伝え合う,かつてはなかった新しいコミュニケーションの形である[6]

このような打ち言葉におけるコミュニケーションは非言語コミュニケーションの手段やパラ言語の情報が欠落しているため、スタンプ、顔文字、絵文字、記号といった代替手段が導入される。これにより、感情表現が豊かになり、コミュニケーションがより直感的かつ表現豊かになることが可能となる。e.g. 「がちしょんぼり浸殿丸 ٩( ◞‸◟ )۶」「😊😊😂🤣😍」など。

社会的な影響

打ち言葉は若者言葉との接点も多く、新しい形式の言葉が形成される背景には、メディアの変化と技術の進化が深く関わっている。これにより、言語の意味の不透明性[7][8]が増すことがあるが、同時に新しいコミュニケーションの形が生まれる。

「打ち言葉」は生活に身近なものとなり,特に20代以下の若い世代においては,SNSが日常的な伝え合いの手段になっている(平成 27 年度情報通信白書[9])。SNSには,送信した情報の拡散性が非常に高く,不特定多数が読者になるというこれまでの手段とは大きく異なる特徴が認められる。「打ち言葉」による伝え合いに際しては,手段・媒体ごとの特性をよく認識した上でやり取りすべき時代を迎えていると言っていい[10]

脚注

  1. ^ a b 金曘泳(Kim Yu Young) (2018). “現代日本語の「若者言葉」と「打ち言葉」 ― 「媒体の変化・技術依存」の造語法を中心に ―”. 比較日本学 (日本学国際比較研究所) 44号: 186. 
  2. ^ 金曘泳(Kim Yu Young) (2019). “現代日本語と現代韓国語の「若者言葉」と「打ち言葉」”. 日本學硏究 57: 198-199. 
  3. ^ 金曘泳(Kim Yu Young) (2020). “現代日本語の「打ち言葉」の定義と特徴 -「Twitter」のクローリングによる「打ち言葉」の分析と共に -”. 比較日本学 40: 321. 
  4. ^ 文化庁. “「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」”. www.bunka.go.jp. 2024年12月14日閲覧。
  5. ^ 金 曘泳(Kim Yu Young) (2018-03). “お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所比較日本学教育研究部門研究年報”. お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所比較日本学教育研究部門研究年報 (お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所比較日本学教育研究部門) (14): 203-212. https://teapot.lib.ocha.ac.jp/record/41591/files/34_203-212.pdf. 
  6. ^ 文化庁. “「分かり合うための言語コミュニケーション(報告) |”. www.bunka.go.jp. 2024年12月14日閲覧。
  7. ^ 金曘泳 (2015-11). “現代日本語の若者言葉の構造と造語法による分類”. 日語日文學研究 (韓國日語日文學會) 95 (1): 6. 
  8. ^ 若者言葉の特徴として何より「不透明性」をあげたい。ここでいう「不透明性」とは,桑本(2013:69)による「隠語性」と似通った概念で,その背景になる文脈に関する知識なしに人が初めて接する語彙の意味を把握できる度合いを指すものである。詳しく言うと,若者言葉は一般的な語彙とは異なって若者の集団内或いは世代内で流行る言葉であって,よそ者にとってはその意味がまったく分からない,つまりその意味が「不透明」である。このような若者言葉の意味における「不透明性」は,基本的に集団語的な性格,つまり若者言葉を構成する二つの主な構造である「コンテクスト」と「語構成」から由来したもので,集団語の特徴を見れば理解できる。
  9. ^ 総務省. “平成27年版 情報通信白書”. www.soumu.go.jp. 2024年12月14日閲覧。
  10. ^ 文化庁. “「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」”. www.bunka.go.jp. p. 26. 2024年12月14日閲覧。

参考文献

  • 加納なおみ他(2017)「「打ち言葉」における句点の役割 : 日本人大学生のLINEメッセージを巡る一考察」『お茶の水女子大学人文科学研究』13,お茶の水女子大学,pp.27-40.
  • 金曘泳(2018)「現代日本語の「若者言葉」と「打ち言葉」 ― 「媒体の変化・技術依存」の造語法を中心に ―」『比較日本学』44号、日本学国際比較研究所,pp.186.

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