所得分類の根拠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 14:38 UTC 版)
所得税は総合課税の方法をとっている一方で、所得分類という分類所得税的な制度を組込んでいる。 担税力の差異 所得は種類によって担税力が異なるという考え方。所得を勤労所得(給与、退職)・資産所得(利子、配当、不動産、山林、譲渡など)、資産勤労結合所得(事業など)に分けた時、源泉の安定性ゆえに資産所得が最も担税力が強く、源泉の不安定性から勤労所得が最も担税力が弱いとする(資産所得重課、勤労所得軽課)。 この考え方の元には、金融所得は時間の経過と共に何もしなくても確実に収入が入るため、それに加え勤労所得を得ることができる一方で、労働所得は労働者の健康や生死に左右され、収入を子孫に相続できないという前提があるとされている。 経済的利益を所得として構成する包括的所得概念論、純資産増加説と親和性が高い。しかし現実には所得発生の原因に即して柔軟に対応することが求められる。 費用控除 所得には包括的な費用控除が認められる独立的継続的な営利活動による所得(不動産、事業、山林など)と部分的にしか所得控除が認められない所得がある。 源泉徴収、予定納税 所得税は利子、配当、給与、退職には所得分類を前提に源泉徴収制度を定めており、源泉徴収可能性が所得分類の中で考慮されている可能性がある。予定納税制度も所得分類を利用している。 最適課税論 資源分配の効率性の観点から市場に中立的な課税要素として、資本、労働など生産要素の異なる供給弾力性に反比例する課税方法を取るべき(課税によって供給が減る要素への課税を低くするべき)とする考え方。担税力の差異を重視する考えとは逆の結論(資産所得軽課、勤労所得重課)になりやすい。 日本の所得税法とは理念が異なるが、現実の税法では北欧の二元的所得税と親和性が高い。
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