戦争の機会費用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 07:16 UTC 版)
「軍事ケインズ主義」も参照 戦争は利得をもたらす、という主張が成り立つようにも見える。なぜなら、歴史的に言って、戦争は、失業率低下を実現させながら、資源の活用を指向して、科学技術の分野などに進歩をもたらすからである。戦争に起因する生産増大と雇用促進は、しばしば、人をして「戦争は経済に有益である」と主張せしめるものである。しかしながら、この主張は、割れ窓の誤謬の一例として挙げることができる。戦争遂行のために消費される資金は、例えば、食糧や服や医療保険などの産業に使えなくなる資金である。経済全体の中で、一つのグループが得る励起力は、その他の複数のグループの犠牲(これは目に見えない)によるものである。 バスティア自身も「見える物と見えない物」の第2章「軍隊の解散」の中で、国民を兵士として雇用することは本質的に経済に有益である、という主張に対して反論を述べている。 ヘンリー・ハズリットは次にように述べている。 価値下落や老朽化によってすでに無価値またはマイナス値にでもなっていない限り、工場を砲弾や爆弾で破壊されることは、決して得にならない。... 個人(または社会主義的政府)が貯蓄を有している状況か、貯蓄できる状況でなければ、つまり蓄積資本が無ければ、破壊された工場や設備を再建する事はできない。しかし、戦争は蓄積資本を破壊するのである。... 何らかの価値がある物を理不尽に破壊する事は、常に純損失であり、不幸な事であり、災害であり、そして、特殊な状況下では補償的要素があるかもしれないが、正味の損得勘定で言えば、決して恩恵ではないし、喜ぶべきものではない。状況がいかに複雑であっても、私達は、この基本的真実を見失ってはならない。
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