成立過程による区分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 02:35 UTC 版)
シノニムの成立には、命名法上の過程と分類学上の過程の2つがある。前者は、より古く先名権のある学名が発見されたとか、あるいは命名規約そのものが変更されたといった、純粋に命名法上の理由によって生じる。一方後者は、科学的知見の蓄積により分類群の定義(限界、circumscription)、位置、階級などが変更された場合である。これらは学名が対応しているタイプが同じかどうかで区別できる。 同タイプ異名(homotypic synonym) 動物命名規約と細菌命名規約では「客観異名」(objective synonym)、植物命名規約では「命名法上の異名」(nomenclatural synonym)とも呼ばれる。同じタイプ標本に対して新たな名前が再命名されることにより生じるシノニム。≡で表記されることがある。 以下のような例がそれにあたる。既に新種記載されているのを知らずに、あらためて記載してしまった。 先につけられていた名前が別種のホモニムだと判明し、それに代わる別名をつけた。 種内の変異を亜種や変種と判断して記載したが、後に独立種に昇格した。 異タイプ異名(heterotypic synonym) 動物命名規約と細菌命名規約では「主観異名」(subjective synonym)、植物命名規約では「分類学上の異名」(taxonomic synonym)とも呼ばれる。元々異なるタイプ標本に対して命名された名前が、それらのタイプ標本が同じ種類だと判断されることにより生じるシノニム。同じ物に対する名前であるかどうかは研究者の立場により判断が分かれる。=で表記されることがある。 以下のような例がそれにあたる。別種と判断して記載した種が、後の見直しで同種であると見なされた。 種内の変異を亜種や変種と判断して記載したが、それが分ける必要なしと判断された。 分類体系の見直しで、属名が変更された。アサガオはこれに当たる。 最後の例では、アサガオという種のタイプ標本は同じ物だが、Ipomoea属のタイプ標本とPharbitis属のタイプ標本が同じと判断されたため生じたシノニムなので、異タイプ異名となる。
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