懸念と廃止後の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 23:17 UTC 版)
「主要農作物種子法」の記事における「懸念と廃止後の対応」の解説
種子を公的に守る政策が放棄されるとの見方から、懸念として、主要農作物の種子の安定生産・安定供給に支障が出るのではないか、一部企業による種子開発や品種の独占、「稲などの種子が多国籍企業に独占される」、「多国籍企業に日本の食料を支配されることにつながり、これらの企業の世界食料支配戦略に加担することになる」、「食料主権が脅かされかねない」、「地域の種子の品質向上や安定供給のシステムが崩れかねない」、種子の価格上昇、「公的資金の支えによる品種育成がなくなれば、現在300種ある各地の米には消えるものが現れ、民間による種の私物化が進むのでは」などが提起された。また、種子法廃止が都道府県や農家への説明なしに唐突に示されたことに対する批判や戸惑いの声も存在する。市町村などの地方議会から国会に提出された意見書は50件を超える。 2017年(平成29年)11月15日には、種子法廃止に関して「稲、麦類及び大豆の種子について」と題した農林水産事務次官による通知が出された。これに対しては、「早くグローバル種子企業が儲けられる下地を農業・食品産業技術総合研究機構や都道府県が準備することを要請しているだけ」などの批判がある。 事務次官通知は種苗法改正への対応も含めて2021年4月1日付で改正され、稲・麦・大豆種子の安定供給が食料安全保障において重要であるとして、都道府県に対して、原種や原々種の圃場設置などによる種子についての知見維持、品種の海外流出防止などを求めた。農業が主要産業である地方自治体では、種子法が廃止された後も独自のシステムで原種の保管などこれまでの取り組みを継続するために、種子法と同様様の趣旨の内容を盛り込んだ種子条例を制定しており、2021年4月までに北海道と27県に達した。
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