感染防御と治療時の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/22 05:12 UTC 版)
「偏性細胞内寄生体」の記事における「感染防御と治療時の問題点」の解説
ヒトをはじめとする動物においては、抗体や補体による液性免疫と、食細胞や細胞傷害性T細胞による細胞性免疫の二つの免疫機構が、互いに協調して病原体による感染から宿主を防御しているが、このうち液性免疫の主役である抗体や補体は細胞の内部には入りこめない。そのため偏性細胞内寄生体に対する感染防御においては、液性免疫は病原体に接触してから侵入するまでのごく限られた段階にしか有効ではなく、細胞性免疫が果たす役割が大きい。この問題は通性細胞内寄生体にも共通に見られる。 感染症に対する薬剤療法を行う上にも問題が存在する。まず第一の問題として、病原体に作用させるためには薬剤の細胞内への浸透性が要求されるため、使用する薬剤が限られると共に、細胞への毒性が強く現れる危険性が高まることが挙げられる。第二に、特にウイルスでは増殖のための大部分の機構を宿主に依存しているため、その大部分の機構が薬剤治療の標的に使えないことが挙げられる。すなわちウイルスの増殖を止めるつもりが、正常な細胞の働きまで止めかねないということである。ただし、個々のウイルスについてその遺伝子の機能が明らかになるにつれ、それぞれに合った抗ウイルス薬の開発が進みつつある。
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