患者自己負担額の増加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 19:34 UTC 版)
患者の自己負担分が増加した分、公的医療保険制度からの支出が減らせる。また自己負担分が大きければ、受診抑制による医療費の減少、自己の治療に関心を更に持つことができ、故意による濃厚診療などのモラルハザードを防止することができる。さらに、受益者負担という視点からはより公平になるといえる。また、国民の健康維持と疾病予防への関心が高まることが期待できる。問題点としては自己負担分が大きすぎると、医療を必要とする患者が十分な医療を受けられない可能性がある。特に、低所得者への影響がより大きくその対策が必要であるが、ただし日本には#医療費負担の補助制度があり必要な医療は受けられる。 2006年には小泉内閣医療改革において自己負担率が2割から3割へ引上げられている。70歳以上の高所得者(夫婦世帯で年収約621万円以上)については2割から現役世代と同じ3割へ上げられた。OECDは負担割合が既に3割に達しているため、3割以上の増額は低所得者への影響が大きいと勧告している。 また70-74歳(前期高齢者)の自己負担率を1割としている特例措置について、2013年の社会保障国民会議では、世代間の公平を図るために廃止すべきと勧告している。後期高齢者医療制度(75歳-)では一定以上所得のある高齢者は軽減がなされず、自己負担は3割となる。2015年のOECD勧告においても、75歳以上人口の半数には負担能力があり、かつ日本の自己負担割合はOECD平均以下であるため、70-74歳の負担割合を2割とするよう勧告し、政府の方針を支持している。
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