徴兵制を巡る議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:12 UTC 版)
戦後、警察予備隊、海上警備隊(後の自衛隊)が発足したものの、徴兵制が憲法18条に反するという一般的解釈、終戦直後における国民の軍隊への悪感情などから徴兵制度は導入されず、志願制度が採られた。その後、徴兵制度に関する議論はしばしば繰り返されてきたものの、制度として採用しようとする表立った動きはなかった。もっとも、自衛隊を増強しようとする動きの一環として、核武装論と共に一部で主張されることがある。 徴兵制については、「青少年を鍛える」などという大義名分で徴兵制度に見合う社会的な教育運動の必要性・精神論を説く議論が終戦直後からなされており、また警察予備隊発足当初では7万5千の警察予備隊を持つ金があれば、徴兵制にすれば30万以上の軍隊を持つことができるとの計測があった。だが第二次大戦の戦没者の多くが志願兵ではなく徴集兵であったという事実から、徴兵制度に嫌悪感を示す論調が大勢を占めていた。 一部の論者によって展開される徴兵制論が、しばしば教育的意図をもって語られ、純軍事的見地から、「軍隊と教育を混同している」として本来の徴兵制の意味を逸脱しているとの反論もある。詳細は#徴兵制をめぐる世界情勢を参照。 2017年(平成29年)8月現在、国会に議席を持つ政党で、徴兵制度の復活を党是や公約に掲げている政党は存在しない。自由民主党が着手している日本国憲法改正に対して「徴兵制を復活させようとするものである」という批判がしばしば行われるが、自民党側はこれを認めていない。2010年(平成22年)3月4日には、共同通信社は自由民主党の「憲法改正推進本部が徴兵制度を検討することを示唆した」と報じられたが、幹事長大島理森は直後にこれを否定している。2012年(平成24年)にはネット上などで自民党の改憲案が徴兵制度を復活させようとするものであるという主張がしばしば行われ、林芳正党幹事長特別補佐は「それ(徴兵制)は政権公約には書いてありませんので、また我々の憲法の草案にも一切書いてございませんので、ご心配ご無用だと思います。」と回答している。
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