後藤比奈夫とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 人名 > 作家 > 歌人 > 歌人 > 後藤比奈夫の意味・解説 

後藤比奈夫

後藤比奈夫の俳句

サングラス掛けて妻にも行くところ
光らねば冬の芒になり切れず
年玉を妻に包まうかと思ふ
東山回して鉾を回しけり
涅槃図に赤が使はれすぎてゐし
瀧の上に空の蒼さの蒐り来
白魚汲みたくさんの目を汲みにけり
真弓の実その他心を開くもの
睡蓮の水に二時の日三時の日
矢のごとくビヤガーテンへ昇降機
花了へてひとしほ一人静かな
雲は行き懸大根はとどまれり
鶴の来るために大空あけて待つ
 

後藤比奈夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/15 03:29 UTC 版)

後藤 比奈夫(ごとう ひなお、1917年大正6年〉4月23日 - 2020年令和2年〉6月5日)は、大阪府出身の俳人。本名は日奈夫(読み同じ)。「諷詠」名誉主宰。父は後藤夜半

経歴

大阪府西成郡今宮村に生まれる。神戸一中旧制一高を経て、1941年大阪大学物理学科を卒業。戦時中は陸軍の技術研究所に勤務。1947年大阪市にボン電気会社を設立。1951年、父・夜半について俳句の道に入り、夜半の主宰誌「花鳥集」に拠る。「ホトトギス」「玉藻」にも投句し高濱年尾星野立子に師事。1954年、「花鳥集」が「諷詠」に改題され、その編集兼発行人となる。1955年、波電子工業所を創業、1960年株式会社となり代表取締役に就任。

1961年「ホトトギス」同人。1976年、父・夜半の死により「諷詠」主宰を継承。1985年、波電子工業社長を退き俳句一筋となる。1987年俳人協会副会長、日本伝統俳句協会顧問、大阪俳人クラブ会長、大阪俳句史研究会代表理事などに就任。2012年、「諷詠」主宰を息子の立夫に譲り同名誉主宰となる。2013年現在、俳人協会顧問、日本伝統俳句協会顧問、大阪俳人クラブ顧問、兵庫県俳句協会顧問、大阪俳句史研究会顧問、虚子記念文学館理事、「玉藻」同人会名誉顧問、星野立子賞選考委員などを務めている。

代表句に「東山回して鉾を回しけり」など。夜半の上方風を受け継ぎつつ、ホトトギス派の信条である客観写生花鳥諷詠を追求。また物理学で培われた知的な視線、新鮮な題材への取り組み、擬人法の開拓などにおいても評価を得ており、戦後以降のホトトギス系の俳人の中でも特に目立った活躍を見せている。なお叔父は喜多流能楽師後藤得三喜多実、比奈夫の姉も喜多流の宗家の内弟子と結婚しており、このため比奈夫の句の背景として能楽が言及されることも多い。

2020年6月5日、老衰のため神戸市内の病院で死去。103歳没[1]

受賞歴

  • 1989年 - 兵庫県文化賞
  • 1991年 - 神戸文化賞
  • 1992年 - 大阪府文化芸術功労者賞
  • 2002年 - 第2回俳句四季大賞(句集『沙羅紅葉』 により)
  • 2006年 - 第40回蛇笏賞(句集『めんない千鳥』により)
  • 2015年 - 第14回山本健吉賞
  • 2017年 - 第32回詩歌文学館賞(句集『白寿』により)

著書

句集

  • 『初心』 1972年、諷詠会
  • 『金泥』 1972年、諷詠会
  • 『祇園守』 1977年、牧羊社
  • 『花匂ひ』 1982年、牧羊社
  • 『花びら柚子』 1987年、角川書店
  • 『紅加茂』 1992年、角川書店
  • 『沙羅紅葉』 2001年、ふらんす堂
  • 『一句好日』 2004年、ふらんす堂
  • 『めんない千鳥』 2005年、ふらんす堂
  • 『心の小窓』 2007年、ふらんす堂
  • 『初東雲』 2009年、ふらんす堂
  • 『残日残照』 2010年、ふらんす堂
  • 『夕映日記』 2013年、ふらんす堂
  • 『白寿』 2016年、ふらんす堂

選句集・全句集

  • 『花神コレクション 後藤比奈夫』 花神社、1994年
  • 『晴の日も雨の日も―後藤比奈夫慶弔俳句集』 1999年、ふらんす堂
  • 『後藤比奈夫七部集』 2002年、沖積舎
  • 『心の花』 2006年、ふらんす堂 選句集
  • 『後藤比奈夫集成』 2012年、沖積舎
  • 『シリーズ自句自解2ベスト100 後藤比奈夫』 2014年、ふらんす堂
  • 『自筆四季八十句』 2014年、沖積舎

俳書

  • 『俳句初学の作法』 1979年、角川書店
  • 『ことばの季節』 1986年、淡交社
  • 『俳句初学入門』 1987年、富士見書房
  • 『入門花鳥諷詠 後藤夜半俳話集』 1991年、角川書店
  • 『今日の俳句入門』 1994年、角川書店
  • 『俳句の見える風景』 1999年、朝日新聞社
  • 『憧れの名句』 2002年、日本放送出版協会
  • 『後藤比奈夫×中原道夫―比奈夫百句を読む。』 ふらんす堂、2011年
  • 『句作り千夜一夜』 2012年、ふらんす堂
  • 『後藤夜半の百句』 2014年、ふらんす堂

参考文献

  • 山田佳乃 「後藤比奈夫」 稲畑汀子編 『ホトトギスの俳人101』 新書館、2010年、98 - 99頁。
  • 坂口昌弘著『平成俳句の好敵手』文學の森
  • 鎌倉佐弓 「後藤比奈夫」 齋藤慎爾、坪内稔典夏石番矢、榎本一郎編 『現代俳句ハンドブック』 雄山閣、1995年、40頁。

関連文献

  • 遠藤綾子 『今日の俳句入門 ―私解後藤比奈夫』 2004年、ふらんす堂
  • 遠藤綾子 『後藤比奈夫春夏秋冬』 2012年、ふらんす堂

脚注

外部リンク




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「後藤比奈夫」の関連用語

後藤比奈夫のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



後藤比奈夫のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
現代俳句協会現代俳句協会
Copyright(C) 現代俳句協会
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの後藤比奈夫 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS