弦楽五重奏曲 イ短調
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「弦楽五重奏曲 (ブルッフ)」の記事における「弦楽五重奏曲 イ短調」の解説
1918年11月から12月にかけて作曲された。譜面はおそらくヘスに贈られたと考えられ、ブルッフの告別式でも演奏された記録がみられるが、その後出版されないままに自筆譜が紛失したため、前述の通り作品は失われたものと考えられていた。 しかし、ブルッフの義理の娘ガートルード・ブルッフ(長男マックス・フェリクスの妻)が筆写した総譜とパート譜が1988年にBBCの書庫から発見され、1991年に出版された。この筆写は3曲同時に1937年に行われたもので、ブルッフの生誕100周年に向けBBCで放送する作品を決定するための試演に使われたものと考えられている。 4楽章からなり、演奏時間は約25分。 第1楽章 Allegroイ短調、4/4拍子。ソナタ形式。第1ヴァイオリンが静かに歌う、減七度音程が印象的な第一主題で始まる。力強いトゥッティに続き、伸びやかな第二主題がヘ長調で提示される。展開部は主に第一主題を扱う。第一主題の再現は簡略化され、第二主題と小結尾がイ長調で続き、イ短調のコーダで力強く終わる。 第2楽章 Allegro moltoハ長調、6/8拍子。メンデルスゾーンを思わせる活発なスケルツォ。シンコペーションが特徴的な第一主題部にその動機を扱った第二主題部が続く、この流れが2回行われる。 第3楽章 Adagio non troppoホ長調、4/4拍子。三部形式。1916年に作曲された弦楽合奏のための『スウェーデンの旋律によるセレナード』の第4楽章を編曲したものである。ヴィオラのH音が敬虔な主題を導き出し、これが変奏を加えながら取り扱われていく。 第4楽章 Allegroイ長調、3/4拍子。ロンドソナタ形式による開放的なフィナーレ。誇らしげな第一主題となだらかな第二主題からなり、明るい終結を迎える。
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