弦楽五重奏曲 変ホ長調
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「弦楽五重奏曲 (ブルッフ)」の記事における「弦楽五重奏曲 変ホ長調」の解説
イ短調の五重奏曲と同時期に作曲された。同様に長らく失われたものと思われていたが、ガートルードが筆写した譜面が個人の蔵書から発見され、2008年に初演と出版が行われた。 4楽章からなり、演奏時間は約19分(筆写譜の書き込みでは17分)。 第1楽章 Andante con moto変ホ長調、6/8拍子。交響曲第1番の遠いエコーであるEsのペダル音の上に十六分音符が滔々と流れる。この動機と、分散和音を基にしたゆるやかな動機(交響曲第1番に組み込まれる予定だった断章から取られたものと言われる)を用いて楽章は組み上げられている。終止せずに次の楽章に切れ目なく続く。 第2楽章 Allegroロ短調、2/4拍子。ソナタ形式。第一主題は上行アルペジオによるもの、第二主題はスタッカートの連続するもので、どちらも第1ヴァイオリンの技巧が発揮される。展開部は長期間ハ短調に傾く。再現部では第二主題がロ長調となり、その勢いを保って華やかに終わる。 第3楽章 Andante con motoト長調、4/4拍子。複合二部形式、あるいは展開部を欠いたソナタ形式。コラール風の第一主題がひとしきり歌われたあと、クラリネットとヴィオラのための二重協奏曲の第1楽章から取られた第二主題が、ヴィオラのピッツィカートに乗ってロ長調で現れる。二つの主題がト長調で再現され、しめやかに終わる。 第4楽章 Andante con moto - Allegro ma non troppo vivace変ホ長調、6/8拍子‐4/4拍子。序奏を持つソナタ形式。第1楽章を回想する序奏はト長調に始まり、すぐに変ホ長調へと繋がる。主部に入ると、交響曲第3番の第4楽章から取られたおおらかな第一主題が提示される。ほどなく音楽は精力的になり、第二主題が現れる。形通りに展開部と再現部(両主題は変ホ長調で現れる)が続き、アーメン終止する和音で力強く終わる。
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