建物買取請求権(たてものかいとりせいきゅうけん)
建物買取請求権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 16:46 UTC 版)
借地契約が終了した場合、借地契約であれば借地上の借地人が立てた建物が残存する場合がある。この場合、その建物を賃貸人に買い取るよう請求できるのが建物買取請求権である(13条)。建物は再築建物であってもよい。 建物買取請求権は形成権である。つまり、これを行使すれば賃貸人の意思に関わらず建物の売買契約が成立してしまう。この規定の趣旨は借地人が投下した資本について回収する機会を与え、建物を取り壊すことによる国民経済的損失を防止し、請求権が行使されれば買取を当然に認めることで契約の更新を間接的に強制することにあると説明される。しかしこの制度は現代社会の実状に適合しないという批判もある。つまり、借地人の保護は契約存続によって図るべきであって買取による資本投下まで保護する必要はないとか、戦後復興を成し遂げた日本において建物の取り壊しを規制するほどの住宅難は存在しないとか、建物それ自体の価格は安いため契約更新を強制する効果がないという指摘である。 また、第三者の建物買取請求権というものもある(14条)。これは賃借権の譲渡を地主が承認しない場合に、その借地上の建物などを取得して借地権を譲り受けようとする者はその地主に対して建物等の買取を請求できるというものである。借地権の譲渡を承認しない間に賃貸人と賃借人との間で賃貸借契約が合意解除されても、特段の事情がない限り建物買取請求権を失わない(最判昭48.9.7)。 賃貸借契約が賃借人の債務不履行によって解除された場合には、賃借人は建物買取請求権を行使できないとするのが判例の立場である(借地権者の請求権につき最判昭35.2.9、第三者の請求権につき最判昭33.4.8)。ただし学説には異論も多く、買取を認めるのが多数説である。建物買取請求権が行使された場合の土地明渡義務と代金支払義務は同時履行の関係に立つ(大判昭9.6.15)。建物買取請求権は、これを行使しうる時から10年の消滅時効にかかる(最判昭42.7.20)。
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