平坦トーラス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 23:44 UTC 版)
「クリフォードトーラス(英語版)」も参照 平坦トーラス (flat torus) は、円柱面を平坦なまま曲げて、両側の端を合わせ貼り付けることで得られる。「平坦」とは「曲率0」ということで、円柱面のように1方向にしか曲がっていない面は曲率0なので平坦である。平坦な面は可展、つまり、伸縮なしで平面(や他の平坦な面)に変形可能である。3次元空間内で円柱面を曲げるにはどうやっても伸縮が必要で、曲率のあるドーナツ型しか作れない。平坦トーラスを作るには、4次元空間が必要である。 平坦トーラスは長方形から作ることもできる。丸めて左右の辺を張り合わせて円柱面にし、あとは同じようにすればいい。円柱面の端とは元の長方形の上下の辺なので、上と下、右と左を貼り付けたことになる。ここで順序を変えて、まず右と左、次に上と下を貼り付けても平坦トーラスができ、このトーラスは元のトーラスと合同である。3次元空間内で考えれば、順序を変えると縦横が入れ替わり戻せないように思えるかもしれないが、4次元空間内では回転により重ね合わすことができる。つまり、上下・左右どちらを先に貼り付けても結果は同じである。 平坦トーラスを作る作業は4次元空間内であるため図示も想像も難しいが、実際に曲げずに、単に上と下、右と左が繋がっていると考えれば、平面幾何に関する限り同じことである。あるいは、同じ長方形が上下左右に無限に繰り返していると考えてもいい。家庭用ゲーム『ドラゴンクエストシリーズ』などのコンピュータRPGに登場する、世界地図の右端と左端だけでなく上端と下端が同じ向き付けで繋がっているような世界は、地球のような球面ではなく平坦トーラスである。 ここまで長方形を例に挙げたが、実は平行四辺形なら平坦トーラスを作れる。たとえば、二重周期を持つ楕円関数は、二つの基本周期が描く平行四辺形から構成される平坦トーラスの上で、自然に定義される関数であると解釈される。 正方形から円筒を、円筒からトーラスをつくる。 AとA、BとB(あるいはBとB、AとA)を繋げる。 繋げる順序が違うトーラス間の変形(アニメGIF)。4次元空間では穴あけ・伸縮なしでこの変形が可能である。
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