嵯峨の屋お室とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 文芸 > 翻訳家 > 嵯峨の屋お室の意味・解説 

さがのや‐おむろ【嵯峨の屋お室】

読み方:さがのやおむろ

[1863〜1947小説家詩人江戸生まれ本名矢崎四郎坪内逍遥門下小説「初恋」くされ玉子」などのほか、ロシア文学翻訳発表


嵯峨の屋おむろ

(嵯峨の屋お室 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/06 03:54 UTC 版)

嵯峨の屋 おむろ(さがのや おむろ、文久2年1月12日1862年3月1日[1] - 昭和22年(1947年10月26日[1])は、日本小説家翻訳家評論家詩人

嵯峨の屋 お室矢崎 嵯峨の舎(屋)(やざき さがのや)、北邙散子(ほくぼうさんし)、探美(たんび)などの筆名もある。

本名・矢崎 鎮四郎(しんしろう)[1]

曾孫は、俳優・モデルの岡本竜汰

人物

後の東京市日本橋区(現・東京都中央区日本橋箱崎にあった下総関宿藩邸生まれ[1]。父親が脱藩彰義隊(卍隊)に加わったため、貧苦の生活を送る[1]

1876年、東京外国語学校(現東京外国語大学)露語科の給費生となる[1]二葉亭四迷とは同級生だった[1]

卒業後統計院に勤めるが官制に伴って失職[1]、二葉亭四迷の紹介で坪内逍遥の門下生となる[1]

1887年、「浮世人情守銭奴之肚」(うきよにんじょうしまりみせのはら)を刊行し、坪内逍遙から「嵯峨屋のお室」の筆名を与えられる[1]。筆名は「嵯峨や御室の花ざかり」という一節(常磐津の「将門」(忍夜恋曲者)による[要出典]

「初恋」「くされ玉子」「野末の菊」(いずれも1889年発表[1])などの浪漫的作品や「夢現境」(1891年発表)など厭世無常観を突き詰めた小説のほか、ロシア文学の翻訳を発表し紹介した。小説論に「小説家の責任」(1889年)がある。詩人としては『抒情詩』(1897)に「いつ真て草」ほか9編を発表。一時は尾崎紅葉と並び称された[要出典]

1906年、陸軍士官学校ロシア語教官を務める[1][注釈 1]。1910年以降は創作活動が止まる[1]。1947年、千葉牛久で没した[1]。墓所は雑司ヶ谷霊園[1]

明治期において懐疑を主観的に表白した最初の小説家であった[要出典]。作中で複数の出来事が起きるにもかかわらず、それを描写する文章量が極端に少なく、要約法・省略法が特徴である[3]

著書

「嵯峨の屋おむろ」名義

  • 『守銭奴の肚』(大倉孫兵衛) 1887年
  • 『豪傑美談』(坪内逍遥共著、東雲堂) 1892年

「矢崎嵯峨の屋」名義

  • 『ひとよぎり』(金港堂) 1887年
  • 『無味気』(駸々堂) 1888年
  • 『美人の面影』(岡本書房) 1889年
  • 『両面苦楽の鏡』(偉業館) 1889年
  • 『新編ちくさ』(金港堂) 1891年
「初恋」(短編小説。1889年、文芸誌「都の花」に発表。「新編ちくさ」に収録。ツルゲーネフによる同名の短編小説の影響が強い。)
「くされ玉子」(短編小説。1889年、文芸誌「都の花」に発表。「新編ちくさ」に収録。)
  • 『文の庫』(春陽堂) 1896年
  • 『古反古』(民友社) 1897年
  • 『通例人の一生』(春陽堂) 1897年

脚注

注釈

  1. ^ その頃の同僚に内田百閒がいる。百閒は後年の随筆で、矢崎の語学力は確かであり陸軍士官学校でも推服されていた、と述べている[2]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 中村正己「河川が育てた文化 近代文学者嵯峨の屋お室の生涯と作品について」(pdf)『千葉県立関宿城博物館研究報告』第9巻、千葉県立関宿城博物館、2005年3月、30-37頁。 
  2. ^ 『麗らかや』旺文社文庫、1983年、P.100頁。 
  3. ^ 澤村真瑠美「嵯峨の屋おむろ研究」『富大比較文学 第二期』第6巻、2023年3月、1-21頁、doi:10.15099/00022294 

参考文献

  • 『嵯峨の屋おむろ研究』(杉崎俊夫、双文社出版) 1985年
  • 『二葉亭四迷・嵯峨の屋おむろ』(筑摩書房、明治文學全集17) 1971年

外部リンク




嵯峨の屋お室と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「嵯峨の屋お室」の関連用語

嵯峨の屋お室のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



嵯峨の屋お室のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの嵯峨の屋おむろ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS