審査主義
審査主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/03 13:55 UTC 版)
特許制度において、権利成立のために実体審査を要するか否かは、国によって考え方が異なる。実体審査を経た後に特許登録を行うのが「審査主義」である。審査主義をとることには、成立した権利が特許要件を満たしていることが保証された安定した権利であるという大きな利点がある一方、権利成立までに時間がかかり、多大な行政コストを要するという欠点もある。しかしながら裁判による事後調停、第三者監視負担を勘案すると社会全体のコストとしては無審査主義に比べ遙かに低コストとなる。 「特許」という名称から特に許可を得るものと考えがちであるが、特許は審査を経て登録するものであって、許可するものではない。したがって、早口言葉にある「東京特許許可局」なる部署は、現在・過去において特許庁に存在しない。 ちなみに、実用新案、意匠、商標については、「実用新案登録」、「意匠登録」、「商標登録」と言うが、「特許登録」とは言わない。これらと同列に扱われる用法は「特許」である(「特許」自体が「登録」であるため)。ただし、「特許権設定登録」は用法として正しい。 現在、ほとんどの国が特許について審査主義を採用している一方で、日本の実用新案のように、特許とは別の無審査登録の制度を採用し又は補完的に有している国も存在する。 無審査主義では、早期に権利が発生するという出願人にとってのメリットはあるが、第三者への権利行使に際しては自らの権利が新規性・進歩性を具備し、有効であることの立証が不可欠となる。なお、日本の実用新案では、権利行使に当たっては所定の技術評価書を提示し(実用新案法29条の2)、権利行使後にその実用新案権が無効にされた場合には、相手方に与えた損害を賠償しなければならない旨の規定が設けられている(実用新案法29条の3)。
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