実質的租税法律主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/27 14:51 UTC 版)
実質的租税法律主義の具体的な内容として、以下の諸原則を掲げることができる。 租税公平主義(租税平等主義、負担公平の原則) 租税負担を納税者に公平に配分しなければならないという考え方。租税正義の実現に必要不可欠な原則。財政学上の要請でもある。担税力原則(担税力に応じた課税の原則) 確認の担税力や経済的実質を基準にして課税する原則。租税立法に関する実質主義とも呼ばれる。 租税特別措置 税制上の特例。租税公平主義の例外。 立法者が租税を政策手段として用いる場合に制定される。租税重課措置(特定の要件に当てはまるものの租税負担を荷重する特例)と租税優遇措置(特定の要件に当てはまる者の租税負担を軽くする特例)がある。 財産権保障 私人に財産の効用を全面的に否定する租税立法は許されない。 租税は実質的に財産権の侵害だが、日本の司法では租税立法が財産権の侵害を理由に違憲と判断されたことはない。それゆえ課税は憲法における財産権の範囲外であると説明されることがある。この考え方の元には民主主義的租税観がある。 なお、 日本国憲法第30条(納税の義務)を日本国憲法第29条(財産権の保障)の「第4項」として捉え、国家によって保障される私有財産制には租税侵害が中核的内容として組み込まれているとみる説もある(憲法30条=憲法29条「4項」論)。 生存権保障 所得税における非課税措置や徴収における差押禁止財産の一部には「健康で文化的な最低限度の生活」(日本国憲法第25条)に配慮した条文がある。しかし、課税減免措置は生存権を保証するための税収を減少させるため、結果的に生存権保障を制約する恐れがある。従って憲法25条から制度的後退禁止原則(具体化した法律によって国民に付与された権利を合理的理由なしに剥奪することは違憲であるとする原則)が導き出される程度にすぎない。 また、憲法13条の幸福追求権を元に「人間の尊厳」に裏打ちされた生存権は国家の課税権に優先すると考え、人間の尊厳に必要な所得・財産・消費には国家は課税できないという原則を見出す説もある。 適正手続保証 税法における適正手続の原則。ここで言う手続は賦課徴収や事後的救済(租税訴訟法)での手続き全てを含む。 青色申告に対する更生の理由付記、審査請求における裁決専門機関(国民不服審判所)設置など。
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