官僚制論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 04:16 UTC 版)
戦後日本の文脈においては、戦前の超然的特権官僚制を、如何に民主的公務員制に変えていくのか、という規範的要請の中で、行政学が発達してきたという側面が強い。辻清明、井出嘉憲、伊藤大一といった50~70年代に主に活躍した学者たちが、戦後公務員制度改革の不十分性を指摘し、特権官僚制の残像が諸々の側面に見られる、という批判的な論陣を基本的に張った点(村松岐夫が言うところの「戦前戦後連続論者」)に端的にみられる。その後、村松のパラダイム転換(「戦前戦後分断論」)を経て、一方的な官僚優位論ではなく、多元主義論の立場に立った官僚制研究が見られるようになると同時に、フィールド調査のための情報や方法論が蓄積されることによって、各省毎の事例調査に即した、より具体的な研究業績が現れることとなった。例えば森田朗(旧運輸省)、山口二郎・真渕勝(旧大蔵省)、廣瀬克哉(旧防衛庁)等である。その後、90年代後半の橋本行革と前後する形で、実際の制度革新の可能性を前にした現状批判的官僚制論が再び隆起すると同時に、今まで直視してこなかった「公務員制度」そのものへ焦点を当てる研究も盛んになっている。
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