安定性の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 15:15 UTC 版)
積み荷の偏りはばら積み貨物船にとって大きな危険をもたらす。穀物は航海中に沈み込んで、積み荷の上部と船倉の上部の間に空間ができるため、この問題は穀物を輸送する場合により顕著である。そうなると、船が横揺れするのにあわせて積み荷は一方から他方の端へ自由に移動できるようになる。これが船の傾きを引き起こし、結果としてさらに多くの積み荷が偏りを起こす。この種の連鎖反応が起きるとばら積み貨物船はとても急速に転覆しうる。 1960年のSOLAS条約は、この種の問題を規制しようとしたものである。こうした規制は、偏りを防ぐような方法で上部バラストタンクを設計することを規定している。また船倉内に油圧ショベルなどを入れて積み荷を水平に整えることも要求している。積み荷を整えることは、空気と接する積み荷の表面積を減らし、石炭や鉄、金属くずなどの積み荷が自然発火する可能性を減らすという有益な副作用もある。 乾貨物に影響を与えうる他の種類の危険としては、周辺の湿気を吸収してしまうというものがある。粒度の細かいコンクリートと骨材が水と混ざると、船倉の底に形成された泥が容易に偏りを起こし、また自由表面効果 (free surface effect) を引き起こす可能性がある。この種の危険を防ぐ唯一の方法は、よく換気をするということと水の存在を注意深く監視することである。
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