安定性の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 21:49 UTC 版)
平衡点 xe の十分近くの初期値を取る解が、全ての時刻 t において xe の近くに留まり続けるようなとき、その平衡点をリアプノフ安定であるという。厳密に言うと、平衡点 xe がリアプノフ安定であるとは、 任意の定数 ε が与えられたときにある定数 δ が存在し、 ‖ x(0) − xe ‖ < δ を満たすような任意の解 x(t) ≠ xe が、全ての t で ‖ x(t) − xe ‖ < ε を満たすことをいう。ここで、 ‖ · ‖ は相空間に定義されたノルムを表す。リアプノフ安定であるとき、単に安定であるともいう。 一方、リアプノフ安定とは別の安定性の概念もある。平衡点の近くにある初期点を取る解がその平衡点へ収束するとき、そのような平衡点を吸引的であるという。厳密な定義では、平衡点 xe に対してある定数 δ が存在し、 ‖ x(0) − xe ‖ < δ を満たすような任意の解 x(t) ≠ xe が、t → ∞ のときにx(t) → xe を満たすことを吸引的という。吸引的な平衡点は沈点とも呼ばれる。 さらに、平衡点がリアプノフ安定なおかつ吸引的であるとき、漸近安定であるという。誤解や混乱を生まないようであれば、漸近安定な平衡点を単に「安定な平衡点」と呼ぶこともある。平衡点がリアプノフ安定であるが吸引的ではないときは、とくに中立安定な平衡点という。 平衡点がリアプノフ安定ではないとき、あるいは平衡点がリアプノフ安定でも吸引的でもないとき、不安定であるという。吸引的とは逆に、平衡点近傍の全ての初期値の解が時間経過に従って平衡点から離れるとき、そのような平衡点を反発的であるという。反発的な平衡点は源点とも呼ばれる。
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