安定多数の計算方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 02:04 UTC 版)
安定多数と絶対安定多数を計算するには、まず各委員会での安定多数・絶対安定多数に必要な委員数と、その時の全委員会での委員数の合計を考慮しなくてはならない。 小数点の数字は、計算上の全与党委員数。 整数の数字は、計算上の数字を切り下げた場合の全与党委員数、あるいは安定多数・絶対安定多数に必要な全与党委員数。 カッコ内の数字は、与党が委員長を出した場合の、残りの与党の委員数と野党の委員数。 衆議院常任委員会の、委員会別の定数、占有率、安定多数、および絶対安定多数委員会委員会数委員会別定数占有率252/48052.500%の場合委員会別安定多数占有率260/48054.167%の場合委員会別絶対安定多数占有率269/48056.042%予算1 50 26.2526(25-24) 26(25-24) 27.08327(26-23) 26(25-24) 28.02128(27-22) 厚生労働国土交通2 45 23.62523(22-22) 23(22-22) 24.37524(23-21) 24(23-21) 25.21925(24-20) 総務財務金融文部科学農林水産経済産業決算行政監視6 40 21.00021(20-19) 21(20-19) 21.66721(20-19) 21(20-19) 22.41722(21-18) 法務1 35 18.37518(17-17) 18(17-17) 18.95818(17-17) 19(18-16) 19.61519(18-16) 内閣外務環境安全保障国家基本政策5 30 15.75015(14-15) 16(15-14) 16.25016(15-14) 16(15-14) 16.81316(15-14) 議院運営1 25 13.12513(12-12) 13(12-12) 13.54213(12-12) 14(13-11) 14.01014(13-11) 懲罰1 20 10.50010(9-10) 11(10-9) 10.83310(9-10) 11(10-9) 11.20811(10-9) 合計17 610(延べの総定数) 320.250314(297-296) 320(303-290) 330.416322(305-288) 324(307-286) 341.859334(317-276) 各常任委員会の委員を各会派別に配分する際には、まず本会議での総議員数に対する各会派別議員数の比率を求め(例えば、A党が作る会派が480議席中264議席を占めているなら、比率は264÷480=55.000%、480議席中276議席を占めているなら、比率は276÷480=57.500%)、それに一致するように各常任委員会内で各会派別の委員数を調整し、さらに全体でも全常任委員会の委員総定数610の各常任委員会への割り振りを微調整する。 全ての常任委員会で委員長決裁を含めてぎりぎり強行採決が可能となる安定多数を占めるには、上記の表で示されているように、委員総定数610のうち320 (各委員会ごとに安定多数に必要とする委員数を、足しあわせた数) を占めることが最低条件になる。その比率は320÷610=52.459%である。よって、ある会派が480議席中252議席以上を占めていれば、その会派の比率は252÷480=52.500%以上となることから、委員総定数610のうち320を確保することができる。 ただし、例えば、その会派が480議席中ちょうど252議席の場合、その会派の比率は252÷480=52.500%、定数20人の常任委員会では20×52.500%=10.500人、定数30人の常任委員会では30×52.500%=15.750人となり、計算上では各々の常任委員会の安定多数に必要な11人、16人に達していない。そのため、小数点以下を調整して委員数の割り振りの合計が610×52.500%=320人になるようにする際に、切り捨てられる可能性が無いとは言えない。しかし、15.750は小数点以下が大きいので切り上げとするのが自然であり、また例えば定数45人の常任委員会の割り当ては45×52.500%=23.625人だが、安定多数には23で足りるので、“23.625の委員会は23で構わないので、かわりに10.500を切り上げる”、といった調整もできるため、現実的にはすべての常任委員会で安定多数を確保することが可能となる。以上のことから、ある会派が本会議の総議席数の52.500%以上、すなわち480議席中252議席以上を占め、全ての常任委員会で優位に立つことが可能な状態を安定多数と呼ぶ。 さらに、全常任委員会で委員長決裁を必要としない強行採決が可能となる絶対安定多数に必要な委員数の合計は、上記の表で示されているように324であり、その比率は324÷610=53.115%(480議席中254.951議席)である。よって、これは、現実的には、ある会派の議席が480議席中の255議席、その占有率が53.125%となる場合である。しかし、この比率では25人の議院運営委員会で25×53.125%=13.28125人となり、議院運営委員長を出しなおかつ過半数13人を占めることになる14人を確保するには今一歩届いていない。比率をもとにした計算で13.5人(13.5÷25=54.00%、480議席中259.2議席、すなわち現実的には260議席)以上であればほぼ安全だと言えなくもないが、“絶対安定多数”と言えるほどの条件としては、やはり議院運営委員会で明確に14.0人以上となることが必要である。この場合、25×χ%=14.0、χ=56.000%であることから、ある会派が全480議席中の56.000%(268.800議席)以上の議席すなわち269議席以上を占めていれば、56.000%以上という条件を満たすことがわかる。よって、この条件を満たした状態、すなわち、ある会派が本会議の総議席数の56.000%以上、つまり269議席以上を占め、定数25の議院運営委員会で14名以上の委員を出すことが可能な状態を絶対安定多数と呼ぶ。
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