宇宙論における時間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 09:39 UTC 版)
「物理学における時間」の記事における「宇宙論における時間」の解説
詳細は「現代宇宙論」を参照 一般相対性理論の方程式は非定常的な宇宙を予測する。しかし、アインシュタインは定常的な宇宙しか受け入れられず、これを反映するように、アインシュタイン方程式に宇宙定数を加える修正を行った。しかし、1927年、ジョルジュ・ルメートル(1894-1966年)は、一般相対性理論に基づいて、宇宙は原始的な爆発に由来すると主張した。その年の第5回ソルベー会議で、アインシュタインは"Vos calculs sont corrects, mais votre physique est abominable."(あなたの数学は正しいが、あなたの物理は嫌なものだ)と述べてルメートルの主張を拒絶した。1929年、エドウィン・ハッブル(1889-1953年)は膨張する宇宙(英語版)の発見を発表した。現在一般に受け入れられている宇宙論モデルであるΛ-CDMモデルによれば、宇宙定数は正であり、従って宇宙は単に膨張しているだけでなく、膨張自体が加速している。 もし宇宙が膨張していたならば、過去の宇宙は現在よりもはるかに小さく、ゆえに宇宙は今より熱くて濃い状態になっていたはずである。ジョージ・ガモフ(1904-1968年)は、元素の周期表において元素が豊富であることは、高密度の宇宙での核反応によって説明がつくという仮説を立てた。この主張はフレッド・ホイル(1915-2001年)に批判され、ホイルはこれを否定するためにビッグバンという言葉を作った。エンリコ・フェルミらは、この過程は軽い元素のみが生成された後に停止してしまい、より重い元素の存在が説明できないと指摘した。 ガモフは、宇宙が膨張中に冷却された後、宇宙に5-10ケルビンの黒体放射が残ると予測した。これは後の1965年にペンジアスとウィルソンによって示された。その後の実験で、宇宙は2.7ケルビンの温度に達していて、それに相当するビッグバン後の宇宙の年齢は138億年であるとわかった。 この劇的な結果によって、新たな問題が生じた。ビッグバンの特異性とプランク時間(観察可能な最小の時間)との間に何が起こったかについてである。いつ時空泡(英語版)から時間が分離されたのかについては、対称性の破れに基づくヒントしかない(自発的対称性の破れ、宇宙の年表#最初期宇宙およびCategory:宇宙論の各項目を参照)。 一般相対性理論は、ビッグバンで始まった膨張する宇宙の現代的な概念をもたらした。相対性理論と量子論を用いて、私たちは宇宙の歴史を大まかに再構成することができた。現在では、電磁波が導体や電荷によって妨害されることなく伝播することができる。そして、夜空で我々から遠い距離にある星を見ることができる(大昔、ビッグバンから30万年後までは星空が見えなかった)。
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